人生の中で一番辛かった夜

20年前の今夜は、私の人生の中で一番辛かった夜。

意気揚々と出かけた8ヶ月検診で、
赤ちゃんが異常に小さい上に、羊水がほとんどない為、
3日以内に出さないと死んでしまうと言われた。
「帝王切開するなら、手術は明日。
出すのは簡単だが、育てるのは覚悟がいるから、
明日までにご主人と話し合ってきてください。」

頭の中が真っ白になって、
どうやって家に帰ったのかも覚えていない。
頭の中の整理がつかないまま、入院の準備をしていると、
主人が慌てて学校から帰ってきた。
初任者として初めての参観日を音楽の先生に代わってもらい、
きっと学校でも、大変だったにちがいない。
赤ちゃんにも主人にも申し訳ない気持ちで
いっぱいだった私に、笑顔で一言。
「明日、この子の誕生日だね～。」
一気に力が抜けた。
(そっか、出すんじゃないんだ。生まれるんだ。)

その夜、さすがに一睡もできなかった私の横で、
スウスウ寝ていた主人を見て、
(なんて肝の座った人なんだろう。一生この人について行くぞ。)
と心に決めた。

が、実は本当は状況がよく飲み込めてなかっただけらしく、
翌日、病院で先生の説明を聞いた途端、
青い顔をして部屋から出て行ってしまった。
「あれ、お父さんは？」
と驚く先生。
「すみません、なんか、気分悪くなったみたいです。」
と言いながら、
(やっぱり、この人には私がついていないと！)
と改めて思った。（≧∇≦）

この日のおかげで、どんなに落ち込んでも、
この日よりはマシと思えるようになった。
生と死とは隣り合わせだと気付いた記念すべき日。