指輪   248

2024-05-31 07:18:11 | 小説

昨日、星に貰った指輪が、渚の左手の指に輝いている

雨で、日差しのない窓ガラスに、指輪をかざしてみる。

こんな日が、訪れるなんて信じられない気持ちと、本当は、この日をずっと待ち続けていた気持ちが、交差して雨音に、かき消されてゆく。

夕べ、両親に、報告すると、母は、手放しで喜んでくれたが、父は、珍しくセンチになって、鼻水をすすっているのが、切なかった。

式は、いつ頃になるのか母が、尋ねた。

まだ日取りは、決まってないが、海外で二人だけで上げようと思っていると言うと、

それが、いいんじゃないと、賛成してくれた。

父は、何か言いたそうだったが、母に押しとどめられた。

多分、後で、マスターに、グチを聞いてもらうんだろうなと思うと、可笑しかった。

 

 

 

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