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読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

キム・ドンソン 著「汝矣島(ヨイド)」小説・韓国芸能界の光と影

2010-09-21 | か行
タイトルの「汝矣島(ヨイド)」とは、ソウル西部の漢江の中州。
KBS(韓国放送公社)やMBC(韓国文化放送)の本社があり、放送業界の代名詞、韓国芸能産業の心臓部。
所属事務所による性接待強要されたと遺書残し自殺したチャン・ジャヨン事件。悲劇はくり返されるのか?
汝矣島(テレビ局街)を中心に、タレントと有力者と金が蠢く“スポンサー文化”。
元・芸能記者の著者が衝撃的な真実を描いた小説。
この小説は、韓国芸能界の真の姿が描かれ、韓国スターの実情がわかる衝撃の一冊。
登場人物は仮名だがほぼ全員、実在の人物をモデルとしており、描かれた事件のほとんどが「現実の出来事」、ノンフィクションに近い。
架空の人物や事件もあるが、事実に基づて書かれた本書は、芸能記者であった著者であるキム・ドンソンの20年にわたって書き留めてきた生々しい“取材手帳”でもある。
韓国芸能界の内部には古くから根付く、“スポンサー文化”という巨大で陰湿な沼地がある。
その泥沼にはまらずにこの業界を渡っていくことは至難の業。
芸能界での成功を夢を抱きながら、スポンサーとの関係を保たなければならない。
韓流ドラマの追っかけや韓国芸能界に詳しい人が読めば例え仮名で書かれていても大体想像付くはず
そういう意味では韓流に疎い私には一部しか解らなかったが赤膚かな韓国芸能界の一面を覗きみた感じだ。
整形天国の韓国、整形したタレントのニセモノが接待に出てくるとか、オーディションの裏側、
光化門マフィア(韓国ヤクザ)との関係など興味はつきなかった。
吉川南訳 (2010年8月PHP研究所 刊)
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加藤元著「流転の薔薇」

2010-09-09 | か行
地主の父親と芸者の母親の婚外子で、母親と東京の外れの長屋で暮らしていた千鶴は、ある日、父親の家に引き取られた。
異母兄弟との確執はあったが美しい妹、鈴子との友情を育んでいた。
しかし結核に倒れた兄を離れで看病するうち暗い欲望をもった兄との禁断の関係をもってしまう。
やがて兄が亡くなりひょんなことから女優の道を歩み始めることになる。
時代は無声映画からトーキーに代わるころ、女を武器に様々な男を踏み台にして、千鶴は大女優への階段を登っていく。
理想の花嫁像として国民的人気を博していく千鶴に回ってくるのは、いつも本人の実像とは程遠い、純情で貞淑な役柄ばかりだった。
「喪った女だから、処女を演じきれるのだ。」楚々とした風情から『銀幕の花嫁』と呼ばれるが、溝(どぶ)の中で育った勝気な女その仮面の下には貪欲で計算高い素顔が隠れていた。
最強の仮面をつけた究極の女。端役からのし上がっていく姿は鬼気迫る。
この時代、美しさはそれだけで財産だった。
戦後の混乱期母親、結婚で儲けた子供と没落した異母兄弟一族の暮らしの面倒を見る為、特に結核を患い病弱な異母妹鈴子の為に千鶴は頑張る。
互いに思いあいながら会うこのない鈴子とのある意味ライバルのような関係、手紙のやり取りや他の家族を通じてのみの関係が千鶴の隠れた力の源泉だったのかもしれない。
“純情”からもっとも遠い女優の一代記。戦中戦後昭和を生き抜き平成に逝った女の根性の物語である。
2010年7月刊 講談社刊
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北森鴻著「うさぎ幻化行」

2010-08-11 | か行
平成22年1月25日心不全により他界した著者の遺作。(出版社にくしくも原稿が届いた日に他界)
飛行機事故により突然この世を去ってしまった、父の前妻の連子だった義兄・最上圭一。
優秀な音響技術者だった彼は、「うさぎ」に不思議な“音のメッセージ”を遺していた。
圭一から「うさぎ」と呼ばれ、可愛がられたフリーライターのリツ子は、早速メッセージを聞いてみたが・・・。
環境庁が選定した、日本の音風景百選を録音したものと思われ
るが、どこかひっかかる。
謎を抱えながら、録音されたと思しき音源を訪ね歩くうちに、もう一人の「うさぎ」の存在と奇妙な矛盾に気づく。
うさぎは自分以外にももう一人居た。もう一人の「うさぎ」は義兄の恋人と思われる女は何処に?それは誰なのか?
音風景を巡る謎を、旅の情感を絡めて描くミステリー連作長編。
音を文章で表して読む人を納得させるのは難しいそうだが著者は苦労しつつ文章化して読者の想像力に訴えかけて展開される。
音に絡んだ個々の謎を解きながら第九話の「うさぎ二人羽織」でそれらが繋がって見事などんでん返しを味わえさせてくれる。
さらにラストは余韻を残しまたしても読者の想像力に任せて終る。
音響技術者だった義兄と義妹リツ子の関係も、恋人との関係も詳しくは書かれてなくて推理想像に任せる著者独特の書き方が読後感の非爽快感なのかも。
北斗星・トワイライトエクスプレスといった夜行列車の旅に絡むミステリーは楽しめた。
文中の大阪駅の名物「虎党弁当」(212P)も食べてみたかったが現時点では最近廃業されたと残念。
北森氏のご冥福をお祈りします。
2010年2月東京創元社刊


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垣根涼介「ボーダー Heat Island Ⅳ」 

2010-07-01 | か行
「ヒートアイランド」「ギャングスター・レッスン」「サウタージ」に続くシリーズ第4弾。
第17回サントリーミステリー大賞・読者賞ダブル受賞作「午前三時のルースター」の登場人物「中西慎一郎」が展開に絡んでくる。
渋谷のストリートギャング「雅」が起したあの事件から3年。
チームを解散し、別々の道を歩み始めていたアキとカオル。カオルは東大入試に合格し学生生活を始めていた。
ところがある日、カオルは級友の慎一郎が見に行ったイベントの話を聞いて愕然とする。
それはファイトパーティーを模したもので、主催者は“雅”の名を騙っていたのだ。
自分たちの過去が暴かれることを恐れた、カオルはアキに接触しようとする。
柿沢、桃井、最高にクールなヤツらの躍動する姿が楽しめるスピード感ある展開の垣根ワールド。

 2010年4月文藝春秋刊
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小杉健治著「家 族」

2010-06-25 | か行
新裁判員制度を基に家族愛を描いた法廷ミステリー。
ひとり留守番をしていた認知症の老女が絞殺された。難航した捜査は、ひとりのホームレスへと行きつく。
逮捕されたサクと名乗るホームレスの男は罪を認め、やがて裁判員裁判が始まった。
凶器にも自白にも問題のない、単純な強盗殺人事件かと誰もが思っていた。
しかし、裁判員の5人のうちの自らも認知症の母を10年間介護する谷口みな子裁判員がふっと思った大胆な推理「嘱託殺人ではないかとの疑問を」
被告に質問したことで、裁判は思いもかけぬ方向へと向かっていったのだった。
新裁判員制度の問題点を提起する小説です。
・・・最後に被告の取った行いはとても切なかった。
『法廷は、真実の発見の場あるが、裁判員制度下の数日間の集中審議の法廷では難しい。
・・・公判前整理手続の段階で行なわれなければ新しい事実の発見は期待できない。』(249P)
2009年5月双葉社刊
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垣根涼介著『張り込み姫―君たちに明日はない3』

2010-05-29 | か行
シリーズ第三作。企業のリストラを代行する会社日本ヒューマンリアクト㈱に勤める村上真介の仕事は、リストラ請負人クビ切り面接官。
今回も脇役に徹して各編の主人公を浮かび上がらせる展開。
英会話学校のチェーン店の講師のリストラ・・・「ビュ-ティフル・ドリーマー」、
大手旅行代理店のリストラ・・・「やどがりの人生」
自動車ディーラー店の店舗閉鎖に伴うリストラ・・・「みんなの力」、
主人公の28歳の女性編集部員は、スクープ写真を撮るために張り込み、チャンスを辛抱強く待ち構える女・・・写真週刊誌休刊に伴う編集部員のリストラ・・「張り込み姫.」の4編
たとえどんなに恨まれ、なじられ、泣かれても、真介はこの仕事にやりがいを感じている。
「家族を大事にし愛するだけでは生きられない。息を出来ない。その他に、
自分の情熱を傾けられるようなモノが必要なんです・・・それが自分の仕事なら一番幸せでしょう」。(211P)
「その時々の気持ちに応じて、とりあえずの決断を選んでいく。その次善の選択の集積が、
結果として自分のそれからの人生を形作っていく」
「後悔のない人生なんて、ありません。でも、その時々の信念や気持ちを信じて
行動していけば、後悔はあっても、それでも後を振り返ったとき、納得はできる」(289P)
「明日への鐘は、その階段を登るものが、鳴らすことが出来る。」(4P)
リストラの嵐が絶えない今の社会そんな風潮の中で会社にとっていらない人とは
どんなタイプかを理解し、会社に生き残るヒントが書かれていますが昨今は優秀な人さえリストラに遇う時代です。
「人間にとって、仕事とは何か」を考えるヒントがあると思いました。
2010年1月 新潮社刊
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鏑木蓮著「救命拒否」

2010-05-24 | か行
事故になった恋人はまだ生きていたのにトリアージで、もう間に合わないという意味のブラックをつけられた・・・喪わされた者たちの悲しみ。
医療トリアージ=命の選別をテーマにした犯罪ミステリー小説。
ホテルでのシンポジウム講演中の講師、救命医若林玲二が爆破死傷事件に巻き込まれた。
現場に駆けつけた救急救命士の知人に向かい「私にブラック・タッグをつけろ」と言い気を失った。
トりアージ・タッグの黒の意味は死。
大阪府警の岸刑事と倉吉警部補のコンビが爆破犯人を追う。やがて重要参考人が浮かび追求するがしかし二転三転する真犯人。
爆破事件の裏側に隠された真相は・・・。
2転3転の為展開が遅くイライラした。花粉症でタバコ好きで関西弁で話す倉吉警部補のキャラがもう一つ掘り下げ不足でしっくりこずなじめなかった不満があるが、深く知らなかったトリアージの意味や問題点を考えるいいきっかけになった。犯人の動機も納得できた。
「トリアージ(Triage)」とは、人材・資源の制約のある緊急災害医療において、
最善の救命効果を得るために、多数の傷病者を重症度と緊急性によって分別し、
治療の優先度を決定すること識別救急。
黒 (Black Tag) カテゴリー0
死亡、もしくは救命に現況以上の救命資機材・人員を必要とし救命不可能なもの。
赤 (Red Tag) カテゴリーI
生命に関わる重篤な状態で一刻も早い処置が必要で救命の可能性があるもの。
黄 (Yellow Tag) カテゴリーII
今すぐに生命に関わる重篤な状態ではないが、早期に処置が必要なもの。
緑 (Green Tag) カテゴリーIII
救急での搬送の必要がない軽症なもの。(Wikipediaより)

元刑事部捜査警部で職務中の事故で九死一生を得て重症を負い車椅子生活になるも
2年後そのまま退職せず会計課に勤務する本多警部はいう
『いま生きてるのは何かの結果やのうて原因や。生き抜いて結果を残す。』(313P)
2010年02月 講談社刊

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垣根涼介著「ゆりかごで眠れ」

2010-04-30 | か行
中米コロンビアからやってきた日系二世のリキ・コバヤシ・ガルシアと6歳の少女カーサが成田に着くところから物語が始める。
凄絶な少年時代を過ごしながらも、コロンビア・マフィアのボスにまで上りつめた日系二世のリキ。この日常に馴染めずも生きる、元刑事・若槻妙子。
リキなしには生きていけない元浮浪児・
カーサ。組織の中で歪み、すり潰されて薬漬けの刑事・武田。
そしてコロンビアのラティーノの殺し屋・パパリトとパト―。
日本を舞台に繰り広げられるコカイン販売ルートをめぐる勢力争い。
コロンビアの貧富の差が激しい現状や、世界的なコカインの産出国の実情場面が興味深い。
血飛沫と喧騒の中を、全速で駆け抜けた男達と女達の人生を描く感動篇ではあるが、
エンディングのあっけなさは消化不足になるかも。

2006年 中央公論新社刊
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岸田るり子著「 Fの悲劇」

2010-04-08 | か行
藤野木さくらは絵が好きな少女で、空想で描いたはずの場所や物が、そのまま実在しているという不思議な力があった。
ある日、描いたのは月光に照らされ、夜の池に浮かぶ美しい女性の姿で、手には花束を抱え、胸にはナイフが突き刺さっていた。
不吉な絵と、その後母に絵を描くことを禁じられ大人になった。
成人したさくらは、祖母から女優だった叔母・ゆう子が、20年前に京都の広沢の池で刺殺されたという過去を聴く。
その死の様子は自分が昔描いたあの絵とそっくりであったと話を聞いて愕然とする。
やがてさくらは、叔母のゆう子が当時下宿していたペンション・エイドウを捜し出し、部屋を借りて叔母の死の謎を探ろうとする。
調べるにつけ次第に明かされる叔母の凄絶な人生と真犯人は?
1988年と2008年の出来事が同じペンションを舞台に時系列に従い交互に展開されるのだが、展開が遅くてイライラする。
犯行時間のトリックや隠し場所の検討も付いてしまう謎の設定に不満が残る。
赤ちゃんの名前のトリックもコジツケのようでこれも不満。
2010年1月徳間書店刊


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梶尾 真治 著 「メモリー・ラボへようこそ」

2010-04-04 | か行
あなたの必要な「おもいで」をご提供します・・・不思議な記憶移植の研究所「メモリー・ラボ」を舞台に繰り広げられる、思いっきりスイートで、ちょっぴりビターな愛の記憶の物語が2つ。
このメモリー・ラボの田中知之所長によれば『強烈で大切にしている記憶しかきれいに解析採取できない。』と云い『経験したことのないおもいでをほしがる人、自分の忘れたい記憶を抜き去ってもらいたい人、おもいでを忘れ去ってしまう前に記憶の形で残しておきたい人』が訪れクチコミでそれなりに予約者がたえないとか。
家族も持たずに会社人間で定年退職した桐生和郎が人生の寂しさに耐えられず露店の飲み屋で貰ったチラシを頼りにラボに訪れ家族の記憶を移植するが・・・表題作他
母子家庭で育った北村笙子は認知症の気配が出始めた母から父親に関する記憶を採取してもらい自分に移植するすることに・・・「おもいでが融ける前に」
昔見た映画「トータルリコール」や映画「エターナル・サンシャイン」 で記憶を消したり移植したりこんなことを見た記憶があるが設定を日本版したSFですが新鮮味が薄い感じ。

2010年1月 平凡社刊
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黒木亮著「排出権商人」

2010-01-16 | か行
『空気が大金に化ける。これが「排出権ビジネス」の実態だ!』・『世界11ヵ国に及ぶ徹底した取材で描く、緊迫のリアルフィクション!』という宣伝コピーがいい。
鳩山首相が世界に公言した「2020年までにCO2の 25%削減目表」やCOP15の迷走ぶりを
思うとこの本の読んでその裏側が良くわかる。
主人公は日本のエンジニアリング会社で排出権取引を担当する女性。
世界中を飛び回るが、その人物像はエリートというよりは、悪戦苦闘しながら前進する努力型の人だ。
温室効果ガス削減か、排出権の購入か。温暖化防止の美名の下で生まれた、まったく新しい国際ビジネスの利権に群がるしたたかな商人たちの、ターゲットは日本。
排出権(カーボンクレジット)。
それは温室効果ガスを「排出する権利」。
京都会議で、実現不可能な排出削減目標を負った日本は、莫大な金額で外国から「排出権」を買わなくてはならない。
国民負担は、5年間で1兆円。
新日本エンジニアリングの松川冴子は、地球環境室長として排出権ビジネスの開拓を命じられる。
巨大排出権市場・中国を奔走する主人公が直面した問題点。
世論をにぎわす国際政治問題が実はこうしたビジネス チャンスと結びついていることが良く分かる。
したたかな中国・インド・ブラジル・EU諸国のそれぞれの思惑が興味深い。
扱われる金額が大きすぎてピンと来ない難点やスリリングな展開や派手なドンパチ、恋愛場面などなくて主人公冴子の成長物語を縦糸に
株の売り買いで儲ける空売り専用ファンドの北川の動きを絡ませて経済テキストを読むように展開される。
そしてエピローグでの「世紀のペテン」の衝撃的場面で終る。
排出権の入門書として最適です知識欲を満たしてくれます。
物語の中で「空から月餅(金)が降ってくる」という中国人の言葉は当に面白い。
2009年11月講談社刊
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加藤 咲子著「あなたの空は何色ですか」

2010-01-13 | か行
ある日、彩子の携帯電話に見知らぬアドレスからのメールが届く。
「あなたの空は何色ですか」普段なら知らない相手に返事などしないのに、つい返信してしまう。
11歳も年が違う出逢うはずのない二人がやり取りするメールは姉・弟からいつしか遠距離恋愛中の彼より引かれてやがて恋に
・・・寝る時も仕事のときも片時も離せない携帯依存症気味の彩子の心の動きが書かれています。
ケータイのメール画面が繁茂に出てきて読み飛ばせます。
21世紀の恋は携帯メールからか?・・・・・・ナリオミの言葉遣いが面白いが
二人の世界にどっぷり漬かったような女性ぽい展開で男の私には白けてしまった。
特にたいした盛り上がりもなく成臣の生い立ちや過去やメールの動機も明らかにならず偶々邪な悪意の♂のメール相手で
なくてよかったなぁ~程度の小説で暇つぶし位にはなるかも。
2009年10月東洋出版 刊
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岸穂花 著「たい焼娘と逃亡志願者」

2010-01-11 | か行
著者は1989年島根県生まれで、2009年 第5回「講談社Birth」小説部門受賞作。
『自殺や人との出会いについてなど、なにかを考えるきっかけになるとうれしいです。』(著者談)
学校の屋上から飛び降りようとしている高三の長田静香に声をかけたのは、たい焼をめいっぱいに抱えた一年生の花岡明生(あお)だった。
「たい焼を食べる時はどの部分から食べる?」。
「わたし、たい焼で世界を救いたかったの・・・」。
不思議な出会いから始まった二人の関係はゆっくりと交錯し、やがてそれぞれの運命を大きく変えていく。
家族関係に悩みを抱え、秘かに自殺願望を抱く高校生。
彼女たちが出会い、交流していくうちに生じるこころの変化。
そんな思春期ならではの、地方の高校生の未熟で純粋なこころのさまを、同年代の著者がリアルにやさしい目線で描いた青春物語です。
B6版200P余りで直ぐ読めちゃいます。
2009年9月講談社刊
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海堂尊著「極北クレイマー」

2009-12-13 | か行
舞台は北海道にある財政難に喘ぐ都市・極北市にある極北市民病院。
北大第一外科の八年目の医師・今中良夫が極北市民病院に赴任する。
この非常勤医師今中を主人公にし、地域医療問題をテーマに極北市民病院のずさんな実態と転落を描いた作品。
財政再建団体に指定されている夕張市を取材して書いたと思われるので興味深い。
赴任して今中は極北市民病院のずさんな実態を目撃したほか、病院内の環境は不衛生、病棟スタッフ達は怠慢、カルテ記載もずさん、
研修医・後藤はグータラだし、院長と事務長は対立している。
そして病院の経営は極北市の「赤字五つ星」に数えられるほど悪化していた。
唯一人徳があり産科医療を一人で支える産科医師の三枝久広の存在だったが、
以前手術中に妊婦が死亡する事件に見舞われ、医療事故と断定される可能性も浮上していた。
そんな病院で、病棟スタッフに白い目で見られながら病院の改変に地道な努力をする今中の前に、厚生労働省からの派遣女医として皮膚科の姫宮香織がやってくる。
姫宮の影響力が呼び起こした嵐は病院を少なからず変えていくが、一方医療ジャーナリストの西園寺さやかが三枝久広の事件で死んだ妊婦の遺族の広崎宏明に接近していた。
そして良心的な産婦人科医はついに医療事故で逮捕される。
日本全国各地で起きている地域医療の破綻を救えるのは誰か?
『日本人は今や一億2千万総クレイマーだ。自分以外の人間を攻め立てて生きている。・・・・医療のために何かしようなどと考える市民はいない。
医療に助けてもらうことだけが当然だと信じて疑わない何と傲慢で貧しい社会であることか。』(P433)
姫宮が登場する辺りから俄然ユーモア度が増し面白いのだが、・・・
医者も人間間違いもありうる医療裁判や地域医療について考えさせてくれる作品です。

2009年4月朝日新聞社刊
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栗田有起 著  「 オテル モル」

2009-10-30 | か行
何度も履歴書をおくり応募した会社の就職に本田希里23歳が普通高校卒業して始めて勤めたホテルのフロント係りの
仕事は一寸変った名前のオテル・ド・モル・ドルモン・ビアンだった。
このホテル都心のビルの谷間にあり客室99、最下階13階の会員制ビジネスホテルで、
採用された理由は応募者の中で一番眠気をもよおす顔だからだった。
双子の姉妹と睡眠をテーマにした ミステリー風小説。
著者は、1972年長崎県生まれ名古屋外大卒「ハミザベス」で第26回すばる文学賞受賞。

2005年 集英社 刊 
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