原孝至の法学徒然草

司法試験予備校講師(弁護士)のブログです。

【2015答案力養成答練】添削実感(刑法2)

2015-07-09 | 講義関連(講義関連・講義補足など)

【第1問】

 

・強盗殺人罪の条文の引用の際,240条「後段」とまできっちり書けない答案が多数。条文の引用はきっちりと。

 

・Aを殺すためのナイフを準備した点につき,殺人予備を検討した答案がありました。本件では,強盗殺人が成立するので,それに当然に吸収されることになるので,検討不要。予備を検討するのは,既遂にも未遂にもならない場合と押さえてください。

 

・「不法原因給付と強盗罪」の問題点の検討をするときに,問題の所在が出てこない答案が多数。なぜ問題になるのか,正確に押さえてください。

 

・免許証の偽造のところで,Dの承諾があるのだから,「違法性が阻却されるのでは」と検討した答案がありました。Dが承諾により処分できる法益ではないので,Dの承諾があっても違法性を阻却する根拠にはなりません。Dの承諾があって作成者が甲になるならば,名義人と作成者の不一致がなくなって,偽造にあたらず,要するに,構成要件不該当となるのではないか,ということです。

 

・F宅で掛け軸を奪った行為につき,恐喝罪の成否を検討する答案がありました。本件では,ナイフを突きつけているので,「犯行抑圧程度の暴行・脅迫」があったと言えるので,やはり強盗が検討されるべきです。なお,犯行抑圧に至る程度か否かは,一般的・客観的に評価します。ナイフを突きつけられたら,普通は,怖くて抵抗できないですよね。

 

【第2問】

 

・やはり,時間切れの答案が多かった。少しずつでいいですから,時間配分も意識したいところです。

 

・丙の罪責から検討している答案がありました。丙は甲・乙とは全く異なることをしているので,丙から検討しても論理的におかしいわけではないのですが,一般的に言って,配点の少なさそうな人物は後がいいですかね。なお,共犯関係が成立する場合の検討順は,講義でお話しした通りです。

 

・賄賂罪の,「職務に関し」の規範が出てこない答案が多数ありました。よく確認を。


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