【第1問】
・強盗殺人罪の条文の引用の際,240条「後段」とまできっちり書けない答案が多数。条文の引用はきっちりと。
・Aを殺すためのナイフを準備した点につき,殺人予備を検討した答案がありました。本件では,強盗殺人が成立するので,それに当然に吸収されることになるので,検討不要。予備を検討するのは,既遂にも未遂にもならない場合と押さえてください。
・「不法原因給付と強盗罪」の問題点の検討をするときに,問題の所在が出てこない答案が多数。なぜ問題になるのか,正確に押さえてください。
・免許証の偽造のところで,Dの承諾があるのだから,「違法性が阻却されるのでは」と検討した答案がありました。Dが承諾により処分できる法益ではないので,Dの承諾があっても違法性を阻却する根拠にはなりません。Dの承諾があって作成者が甲になるならば,名義人と作成者の不一致がなくなって,偽造にあたらず,要するに,構成要件不該当となるのではないか,ということです。
・F宅で掛け軸を奪った行為につき,恐喝罪の成否を検討する答案がありました。本件では,ナイフを突きつけているので,「犯行抑圧程度の暴行・脅迫」があったと言えるので,やはり強盗が検討されるべきです。なお,犯行抑圧に至る程度か否かは,一般的・客観的に評価します。ナイフを突きつけられたら,普通は,怖くて抵抗できないですよね。
【第2問】
・やはり,時間切れの答案が多かった。少しずつでいいですから,時間配分も意識したいところです。
・丙の罪責から検討している答案がありました。丙は甲・乙とは全く異なることをしているので,丙から検討しても論理的におかしいわけではないのですが,一般的に言って,配点の少なさそうな人物は後がいいですかね。なお,共犯関係が成立する場合の検討順は,講義でお話しした通りです。
・賄賂罪の,「職務に関し」の規範が出てこない答案が多数ありました。よく確認を。
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