原孝至の法学徒然草

司法試験予備校講師(弁護士)のブログです。

【2015答案力養成答練】刑法1(添削実感)

2015-07-05 | 講義関連(講義関連・講義補足など)

【総論】

 

・起案に慣れていない方が多いためか,うまく構成できていない答案が多数ありました。講義を参考に,再度,構成してみてください。

 

・過去にも指摘していますが,答案は,自らの見解を述べるものですから,「○○説によれば…」ではいけません。レジュメの「全体の概観」は,あくまでも解説であって,答案ではありません。

 

・少数説に立ちたがる答案が散見されました。おススメしません。司法試験では,割り切って,判例・通説ベースで書きましょう。短答で混乱する要因にもなります。

 

【第1問】

 

・どの行為が,どの時点の行為が実行行為であるのか,わかるように書きましょう。車に乗せた段階では,何の犯罪も成立しません。路肩に停車させた後が問題なのです。

 

・作為義務の根拠は,事務管理が成立する本件では,法的根拠ある事務管理を作為義務の根拠とすべきです。それがだめなら,引き受け等に持っていく。

 

・同価値性の要件の検討は,「排他的に支配していたから」というよりも,「病院に連れて行かないと今にもAが死にそうだ」ということです。そういう状態で放っておくことは,人をナイフで刺すのと同じくらい危険だ,ということ。

 

・容易性については,「病院に連れていけば助かった」ではなく,「病院に連れていくのは簡単なことだった」ということです。

 

・作為義務の内容が明示されていない答案が多々ありました。作為義務の内容を明示しないと,その懈怠としての不作為を認定することができません。

 

・因果関係の点につき,規範が立てられていない答案が目立ちました。相当因果関係説(折衷説),危険の現実化法理のいずれに立つにせよ,いかなる基準で判断するのか,規範を立てなくてはいけません。

 

【第2問】

 

・時間切れのため,途中答案の方が多かったです。時間短縮法は,刑法2の解説講義で少しお話しているので参考にしてください。時間内に答案を完成させるための方法論は,スタ論第2クールのガイダンスでがっつりお話ししているので,ストリーミングか何かで聴講できるとよいのですが…。いずれにせよ,途中答案になってしまった方は,再度,書いてみてください。

 

・誰から論ずるか,考えていないであろう答案が目立ちました。ここは,講義で十分にお話しているので,よく復讐を。

 

・Aを教唆犯とした答案が複数ありましたが,誤りです。Aは首謀者であり,正犯性があります。教唆は,典型的な「お前,金がないならあの金持ちの家から盗んで来いよ」事例からもわかるように,教唆者には正犯性がない場合です。

 


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