木走正水さんの「木走日記」の8月13日のエントリー「地域格差拡大否定論を統計的に批判検証してみる」で、株式会社日本総合研究所の「『「地域格差』は拡大しているか」という資料を検証されていました。
日本総合研究所のこのレポートは「就業者1人あたり県内総生産の県別格差」の統計をとり、その結果として、
とか、
と結論づけています。
ぼんやりと、資料を眺めていたら、このような説明を鵜呑みにして、「格差なんて本当はないのだ」と納得されられてしまいそうです。
しかし、慧眼な木走正水さんは、こう指摘しています。↓
確かに、そのとおりで、「就業者1人あたりの県別格差」などというものは、地域間の給与水準の差を示すものでしかありません。
統計のプロの日本総合研究所がこんないい加減な資料を作って「格差などない」と強弁するのは、実に見苦しいし、国民に対する背任でさえあります。
指標とすべきは、木走さんのおっしゃる通り、「1人当たり県民所得」なのです。
↑これで、平成8年度と平成16年度を比較して増減率を見てみると、実に悲惨な数字になっています。↓
全都道府県計が、この九年間で6.59%の減少。これはひどいものですね。これで、よく景気は「いざなぎ景気を超えた」などと言えたものです。国民を騙すのも大概にしてほしい。
そんな中で、東京都のみが、6.47%の増加ですか。まさに東京の独り勝ちですね。
これを見れば、今の日本で、「格差拡大」と「貧窮化」が同時に進行していることが分かります。
日本総合研究所のこのレポートは「就業者1人あたり県内総生産の県別格差」の統計をとり、その結果として、
所得面について、名目賃金の過去10年の動きを都道府県別にみる限り、格差が拡大する傾向ははっきりとは確認できない。 |
とか、
この面からみる限りは、小泉政権下で推進された「公共事業削減」や「三位一体改革」を“地方を切捨て”と断定し、「構造改革路線」を否定する論拠にすることには慎重であるべきであろう。 |
と結論づけています。
ぼんやりと、資料を眺めていたら、このような説明を鵜呑みにして、「格差なんて本当はないのだ」と納得されられてしまいそうです。
しかし、慧眼な木走正水さんは、こう指摘しています。↓
しかし、実はこの指標『1人当たり雇用者報酬:現金給与総額』でもって地域比較する限界を私達は気付くべきであります。 いうまでもなくこの指標は分母は「現在雇用されている人」総数による平均給与であるということです。 失業中の人や所得のない人は分母に入っていません。 これでは地域経済そのものを比較する指標としては十分とは言えません。 |
確かに、そのとおりで、「就業者1人あたりの県別格差」などというものは、地域間の給与水準の差を示すものでしかありません。
統計のプロの日本総合研究所がこんないい加減な資料を作って「格差などない」と強弁するのは、実に見苦しいし、国民に対する背任でさえあります。
指標とすべきは、木走さんのおっしゃる通り、「1人当たり県民所得」なのです。
7.1人当たり県民所得(42KB) http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/kenmin/h16/7_skenmin.xls |
↑これで、平成8年度と平成16年度を比較して増減率を見てみると、実に悲惨な数字になっています。↓
【表2:1人当たり県民所得】(単位:千円) 都道府県 平成8年度 平成16年度 増減率 01 北海道 2,794 2,535 -9.27% 02 青森県 2,476 2,152 -13.09% 03 岩手県 2,572 2,363 -8.13% 04 宮城県 2,812 2,530 -10.03% 05 秋田県 2,491 2,297 -7.79% 06 山形県 2,604 2,411 -7.41% 07 福島県 2,897 2,712 -6.39% 08 茨城県 3,148 2,929 -6.96% 09 栃木県 3,314 3,062 -7.60% 10 群馬県 3,034 2,828 -6.79% 11 埼玉県 3,324 2,956 -11.07% 12 千葉県 3,116 2,976 -4.49% 13 東京都 4,282 4,559 +6.47% 14 神奈川 3,576 3,174 -11.24% 15 新潟県 2,898 2,688 -7.25% 16 富山県 3,316 3,027 -8.72% 17 石川県 2,979 2,790 -6.34% 18 福井県 2,930 2,832 -3.34% 19 山梨県 2,896 2,548 -12.01% 20 長野県 2,980 2,733 -8.29% 21 岐阜県 2,999 2,701 -9.94% 22 静岡県 3,357 3,247 -3.28% 23 愛知県 3,723 3,440 -7.60% 24 三重県 3,015 2,988 -0.90% 25 滋賀県 3,529 3,235 -8.33% 26 京都府 3,034 2,849 -6.10% 27 大阪府 3,534 3,039 -14.01% 28 兵庫県 3,301 2,651 -19.69% 29 奈良県 2,968 2,599 -12.43% 30 和歌山 2,601 2,525 -2.92% 31 鳥取県 2,621 2,371 -9.54% 32 島根県 2,549 2,425 -4.86% 33 岡山県 2,844 2,578 -9.35% 34 広島県 3,184 2,943 -7.57% 35 山口県 2,899 2,817 -2.83% 36 徳島県 2,784 2,808 +0.86% 37 香川県 2,844 2,630 -7.52% 38 愛媛県 2,637 2,309 -12.44% 39 高知県 2,437 2,171 -10,92% 40 福岡県 2,792 2,570 -7.95% 41 佐賀県 2,597 2,453 -5.54% 42 長崎県 2,380 2,190 -7.98% 43 熊本県 2,460 2,366 -3.82% 44 大分県 2,690 2,653 -1.38% 45 宮崎県 2,415 2,340 -3.11% 46 鹿児島 2,276 2,207 -3.03% 47 沖縄県 2,050 1,987 -3.07% * 全県計 3,188 2,978 -6.59% * ブロック別 01 北海道・東北 2,746 2,508 -8.67% 02 関東 3,556 3,427 -3.63% 03 中部 3,374 3,171 -6.02% 04 近畿 3,321 2,868 -13.64% 05 中国 2,935 2,730 -6.98% 06 四国 2,678 2,460 -8.14% 07 九州 2,529 2,391 -5.46% * 政令指定都市 01 札幌市 3,025 2,700 -10.74% 02 仙台市 3,300 2,935 -11.06% 03 千葉市 3,472 3,348 -3.57% 04 横浜市 3,579 3,110 -13.10% 05 川崎市 3,643 3,281 -9.94% 06 名古屋 3,940 3,241 -17.74% 07 京都市 3,148 2,911 -7.53% 08 大阪市 4,106 3,311 -19.36% 09 神戸市 3,136 2,773 -11.58% 10 北九州 3,048 2,510 -17.65% 11 福岡市 3,338 3,109 -6.86% * 都市計 3,510 3,052 -13.05% 都道府県 平成8年度 平成16年度 増減率 * 全県計 3,188 2,978 -6.59% 都道府県 平成8年度 平成16年度 増減率 13 東京都 4,282 4,559 +6.47% まず平成8年から16年までの9年間で全国平均では3,188千円から2,978千円と-6.59%も平均所得が下がっている中で東京だけが突出して増加傾向にあることがわかります。 |
全都道府県計が、この九年間で6.59%の減少。これはひどいものですね。これで、よく景気は「いざなぎ景気を超えた」などと言えたものです。国民を騙すのも大概にしてほしい。
そんな中で、東京都のみが、6.47%の増加ですか。まさに東京の独り勝ちですね。
これを見れば、今の日本で、「格差拡大」と「貧窮化」が同時に進行していることが分かります。