神社の裏山から湧き出た水を溜めた灌漑用の池が、いつしか“名もなき池;モネの池″と呼ばれ、観光客が訪れるようになりました。豪雨災害による泥水流入以前、確かに水は透明で、睡蓮の花が咲き、錦鯉がたくさん泳いでいました。
板取川に沿い西に向かっていた県道81号から洞戸地区で国道256号に入り、直角に曲がって北上します。洞戸から10Kmほどの所の根道神社の参道横に小さな池があります。地元の人の間では特に名前はなく、単に”池”と呼んでいました。
突然派手な原色が目に飛び込んできました。オレンジ色のダンプカーとブルーのショベルカーが並んでいます。それらしい工事現場は近くに見当たりません。雪深い山道で一冬の間活躍した後、お色直しをしてもらって休んでいるのでしょうか。
寺尾ヶ原の坂道を下りる板取の川筋に出ます。まだまだ中部山岳地帯の入り口なので川は急流ではなく、ゆったり流れています。アユ釣りが解禁になると川の真ん中で釣り糸を垂れる人を多く見かけます。点々とつながる桜はほぼ満開です。
時は昭和27年3月、サンフランシスコ講和条約締結から約半年、平和への願いを込めて寺尾地区民総出で300本の桜を植えました。寺尾ヶ原千本桜の始まりです。満開の時期をわずかに過ぎて散り始めた花による花筵ができ始めています。
細く曲がりくねった道を上り寺尾坂峠を越えると、それまでの険しさとは打って変わった風景が現れます。寺尾ヶ原千本桜公園です。峠から下りが続く県道沿い約2Kmにわたって桜のトンネルが続きます。(4月10日撮影)
もう少し奥に進んで武儀川に架かるの新桜橋を渡りました。この辺りは川沿いの狭い土地に武芸川町の家並みが集まっていて、そこここの桜が満開です。小高い山にまっすぐに突き進むと、寺尾坂峠を越えて板取川添いの洞戸の町に入ります。