木曽谷から清内路村の花桃街道を経て咲き始めた花桃がこの里に根付きました。これは現代版花咲か爺さんの資材と手間と自己負担の努力が村人の心を捉えたからです。後に村と地域の協力で２５００本が追加され、現在の桃源郷と呼ぶにふさわしい光景を見せてくれています。
本谷川の曲線に沿った道路の両側の花桃が咲きそろっています。日本の伝統的な桜と異なり花桃の歴史は浅いものです。電力会社社長の福沢桃介がドイツのミュンヘンで美しく三色に咲く花桃を見かけ、３本の苗を購入して帰国、木曽の発電所に植えたのが始まりと言われます。
かって地元住民らが出資してオープンした宿泊交流施設「月川」が眼下です。実は、この施設の中心的役割をされた❝花咲かじいさん❞が、一人で花桃1千本をこのあたりに植えたのが花桃の里のルーツです。きっかけは隣村の清内路村の花桃に出会ったこととのことです。
３０分ほど山登りに近い徒歩で汗をかいた甲斐があって、駐車場から花桃の見どころに渡る橋を見下ろせる位置にたどり着きました。花桃の里を、今はやりのドローンからのように見下ろすことができます。こっそり教えていただいた地元の方には大感謝です。
地元の人に一番のビューポイントを耳打ちしていただき、古くからの村がある場所なのでよそ者はあまり足を踏み入れてほしくない雰囲気でしたが、一般の花見の順路と反対の道を辿りました。途中、息切れがする急坂の道に面した民家の庭に一足早いこいのぼりが泳いでいます。
駐車場まで下りてきました。このあたり月川（げっせん）温泉郷・花桃の里と呼ばれています。本谷川を挟んだこの地域に3500本の花桃が咲き誇ると言われています。もともとは中央自動車道の土捨て場だった所に、約20年くらい前から花桃を植え始めて今に至る新しい名所です。
山を彩る役者はまだいました。対岸の急な斜面の山肌に張り付くようにして頑張っています。それはパープルの花のミツバツツジです。
川を見下ろせる一段高い所を通る道路沿いのヒガン桜はいま満開です。このあたりの主役は花桃ではありますが、前座を我に任せなさいとばかりに咲き誇っています。
道を少しそれて、本谷川添いに走る県道を見下ろすところに来ました。川岸に点々と植えられた花桃の列と両岸の桜が競うように咲いています。流れが急なので、少し下流に下るだけでも標高が下がり、気温も変化するのでしょうか、花桃の開花もだいぶ進んでいます。
発見してから30分過ぎました。アゲハ君にとって生死を分ける30分だったと思います。どの部分も欠けているところが無く完ぺきな形です。飛び立つ瞬間を捉えようと待ち構えました。ところがアッというまに彼は消えてしまいました。飛び立つ時は全力発進なんですね。
