日記帳

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Book Review No.236「銀の館 上下」

2008-09-07 | 読書
永井路子 著(文春文庫)
<評価>
感動度:☆☆☆☆
知識度:☆☆☆☆
娯楽度:☆☆☆☆
難易度:☆☆

かつてはNHK大河ドラマにもなった永井路子の代表作で、応仁の乱の激動を生き抜いた日野富子の物語。

日野富子というと蓄財にせいを出し、政治に口出しばかりしていた悪妻-というようなイメージがあるが、そのステレオタイプなイメージに挑戦的ともいえる筆致で反論している感じ。
決して富子を稀有の善人として描いているのではなく、冷静に歴史を読めば止むに止まれずそういう生き方をせざるを得なかったのだと。

また、この物語はサブの主人公として素浪人を置き、その周囲の人々と同時に当時の民衆の姿や世相なども詳しく書いており、その詳細な歴史分析は傾聴に値する。