日記帳

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Book Review No.308「きよしこ」

2010-04-25 | 読書
重松清 著(新潮文庫)
<評価>
感動度:☆☆☆
知識度:☆☆☆
娯楽度:☆☆☆
難易度:☆☆

主人公の名前が「きよし」であることからすると、私小説的な小説なのかもしれない。
吃音に悩む少年の年代別の物語集。

私は吃音だったわけではないが、話すのが苦手な子供だっただけに、主人公の気持ちには素直に共感できた。
だんだんと成長していく少年の姿が実に眩しい。

少年の心を描かせたら最近の作家では氏が一番という気がする。

Book Review No.307「昭和東京ものがたり2」

2010-04-18 | 読書
山本七平 著(日経ビジネス人文庫)
<評価>
感動度:☆☆
知識度:☆☆☆☆
娯楽度:☆☆
難易度:☆☆

題名にひかれて手に取ったが「2」であることに気がつかなかった・・・。

それはともかくとして、昭和の-多くの記述は戦前の-東京の姿を自らの体験ベースで生き生きと描いていて興味深い。
教科書に載っている歴史も、市井の人々の受け取り方はこうだったのかと。
特に戦前の人々の政治意識等は歴史の教科書からは計り知れない部分なので、貴重な記録だと思う。

しかし、9年も前に亡くなった著者と未だかくしゃくとして健在の私の祖父は同い歳。
うちの祖父も歴史の生き証人なのだと改めて実感・・・。

Book Review No.306「経産省の山田補佐、ただいま育休中」

2010-04-04 | 読書
山田正人 著(文春文庫)
<評価>
感動度:☆☆
知識度:☆☆☆
娯楽度:☆☆☆☆☆
難易度:☆

立場上以前から興味があった一冊だったが、「新書で買うのもな・・・。」というところがあって、書店手にとって眺める程度だったところ、今回文庫化されたので購入してみた。

著者が育児休業取得を決めたのが今から6年前の2004年ということを考えると、なかなか霞が関の常識から考えれば斬新で思い切った行動だったと思う。
単純に育児記録としてもおもしろく、父親目線の同種の著作が少ないだけに、「分かる分かる。」と共感できる部分も少なくない。

「公務員だから1年も育休取れたんだろう。」という指摘もあると思われ、必ずしも否定できないところだが、まずは公務員から取り始めて世間の話題の俎上に乗せるというだけでも意義はあったのではないかと思う。
後半は政策提言的な記述も多く、単純に育児体験談のみを望む読者にとっては「??」という部分もあるかもしれないが、それはそれで興味深い。

Book Review No.305「千年樹」

2010-04-02 | 読書
荻原 浩 著(集英社文庫)
<評価>
感動度:☆☆☆☆
知識度:☆☆☆
娯楽度:☆☆☆☆
難易度:☆☆☆☆

クスの大木を中心に織り成される時代を超えたストーリー。
ホラー的要素もあり、コメディ的要素もあり、泣かせ系の要素もあり・・・
とにかく引き出しが広く、多彩なストーリーだ。
時代があちらこちらへと飛び、同じ登場人物が時代を超えていろいろなところに登場するので、何度も前を読み返して確認することになる。
軽いテンポなわりに、えらく読むのに時間がかかった。

個人的には一番気に入ったのは「バァバの石段」。
重たい結末を予想していただけに、胸の中を暖かい風が吹き抜ける感があった。