日記帳

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Book Review No.323「告白」

2010-07-28 | 読書
湊かなえ 著(双葉文庫)
<評価>
感動度:☆☆☆☆
知識度:☆☆
娯楽度:☆☆☆
難易度:☆☆☆

どこの本屋でも一番目につくところに平積みにされ、映画化もされてとにかく話題になっている一冊。
amazonのレビューの量も段違いの多さ。

感想としては、とにかく一気に読ませる。
一章ごとに主体を変えて読ませるスタイルは斬新で、作者の力量は素晴らしいと思し、非常におもしろい小説だということは間違いない。

しかし、多くの読者が指摘するように、読後感が非常によろしくない。
救いのなさという点では桐野夏生を凌ぐ感がある。

個人的には「読後感の良さ」というのを非常に求めたいタイプなので、もうちょっとどこかに「救い」の要素を入れ込んで欲しかった。(どこかにあったのかもしれないけど、少なくとも私には理解できなかった。)


Book Review No.322「関東大震災」

2010-07-14 | 読書
吉村 昭 著(文藝春秋)
<評価>
感動度:☆☆☆
知識度:☆☆☆☆☆
娯楽度:☆
難易度:☆☆☆

吉村昭の著作、特にノン・フィクションは事実を淡々と述べるだけでありながらも、非常に迫力と臨場感に満ち溢れている。
本作もまさに事実を淡々と述べているだけで、章の構成もまるで新聞記事のよう。

単に地震だけの事実でなく、それに続く火災の凄まじさ。
そして、人心の荒廃の恐ろしさ。
大地震に付随して起こる人災の恐ろしさについてもまざまざと教えてくれる。

関東大震災からもう90年近くが経過し、震災を実際に経験した方のほとんどが鬼籍に入る中、近い将来必ず起こるであろう次の震災の恐怖に思いを馳せずにはいられない。

Book Review No.321「ひとり日和」

2010-07-02 | 読書
青山七恵 著(河出文庫)
<評価>
感動度:☆☆☆
知識度:☆☆☆
娯楽度:☆☆☆
難易度:☆☆☆

作者は若い女性、芥川賞受賞作、舞台はわりと平凡な日常・・・どこかデジャビュを感じると思ったら、同様に若い女性の芥川賞受賞で有名になった綿矢りさと雰囲気が似ている。(そういえば、あの人は今どうしているんだろう?)
何となく共感できる部分はあるとは言え、あまりに淡々とした筆致なので退屈という感がなくもない。
また、もうちょっと主人公に覇気が欲しい。
好みの問題だとは思うが・・・。

やはり、私は現実感の有無は別にして、五木寛之や宮本輝の小説に出てくる主人公のほうが好きだなあ。