日記帳

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Book Review No.331「東京駅物語」

2010-09-10 | 読書
北原亞以子 著(文春文庫)

<評価>
感動度:☆☆☆
知識度:☆☆☆☆
娯楽度:☆☆☆
難易度:☆☆☆

一言で言うと「上手い」小説。
非常に小説として技巧的で、よく練られているという印象がある。
一見短編物のようだが、駅を中心に明治から昭和までの市井の人々の人間模様が微妙に折り重なりつつ見えてくる。

東京駅の復刻に併せて・・・ということなんだろうが、よくそういうリクエストにお答えしてこんな話が書けるものだと感心してしまう。

Book Review No.330「孤独な夜のココア」

2010-09-09 | 日々つれづれ
田辺聖子 著(新潮文庫)
<評価>
感動度:☆☆☆
知識度:☆☆
娯楽度:☆☆☆
難易度:☆☆☆

ほろ苦く切ない恋愛小説の短編集。
表題の「孤独な夜のココア」という題の作品は登場せず、この表題が全作通しての表題となっているのが珍しい。
すべて読み終わって表題に戻ってみると、「なるほどね~。」という感じ。
物語ひとつひとつは全く違う話なのだが、根底に流れるものは同じで作者としてはこの表題が一つのテーマという位置付けなんだろう。
発表は30年以上も前なので当然時代設定は古いが、それを感じさせず、登場人物たちの話す関西弁が何とも優しく心地良い。