日記帳

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Book Review No.334「追伸」

2010-10-28 | 読書
真保裕一 著(文春文庫)

<評価>
感動度:☆☆☆
知識度:☆☆☆
娯楽度:☆☆☆
難易度:☆☆

全編が手紙の往復による小説・・・となると、宮本輝好きとしては、どうしても「錦繍」と比べてしまうのは致し方ないところか。
そして、やっぱり「「錦繍」のほうが上!」と断じたくなってしまうのも、これまた致し方ないところ。

やはり、舞台が現代なのにメールでも電話でもなく手紙のやり取りというのが若干無理がある。
そういう点では、Ⅱの主人公の祖父母のやり取りのほうが自然だ。
・・・というより、この小説は、完全にⅡがⅠ・Ⅱを食っているように感じたのは私だけだろうか?
むしろ、Ⅱのエピソードだけで一冊書いたほうが良かったのではないかと思ってしまう。
戦前・戦後の激動の時代の行き抜いた祖父母の話の後に、現代の話が出てくるとどうしても小さく皮相な感じがしてしまう・・・。

Book Review No.333「音もなく少女は」

2010-10-24 | 読書
ボストン・テラン 著(文藝春秋)

<評価>
感動度:☆☆☆
知識度:☆☆☆
娯楽度:☆☆
難易度:☆☆☆☆

洋書は久しぶりに読んだ気がするが、正直、この手のやたらと血が流れる話はあまり好きではない。
結末も私としては、「そうであってほしくないな・・・。」という流れだった。
こういう結末で何となくハッピーエンド気味にしてしまうのは、日本の発想ではないんじゃないかな?

とは言え、共感できる部分がなかったというわけではなく、不幸に見舞われながらも前向きに生きる女性たちの姿に心打たれた。(一方で男性はろくなのが出てこない・・・。)
プロローグから主人公の年代別に一~三話とつながる構成も秀逸。

BooksReview No.332「オレンジの壺」

2010-10-08 | 読書
宮本 輝 著(講談社文庫)

<評価>
感動度:☆☆☆☆
知識度:☆☆☆☆☆
娯楽度:☆☆☆☆
難易度:☆☆☆

60年以上前に書かれた祖父の遺品の手紙を読み進めることによって過去の物語をつむいでいく本作のジャンルは、ミステリーなのか時代小説なのか恋愛小説なのか・・・?
謎が謎を呼ぶ息もつかせぬ展開で一気に読ませるが、結局その謎はほとんど解決されないまま読者は放りだされてしまう感じ。
読み終わると、喉の奥にモノがはさまったようなもどかしい感じが残るが、あとがきを読む限りそれを狙ったと言う感もある。
作者も取材の過程で現実に対して同じような感じを受け、歴史というのはそういうものだと言いたかったと私は感じた。

やっぱり、宮本輝は圧倒的におもしろい。