BLのR18です。大丈夫な方だけどうぞ。
基本情報。
渋谷慶:浪人1年目。身長164cm。中性的で美しい容姿だけど性格は男らしい。
桜井浩介:大学1年。身長176cm。見た目ごくごく普通。優しそう。
前回の「風のゆくえには~R18・受攻試行」の浩介視点。
3回目の挿入挑戦、の話。
前2回はうまくできず、手でしておしまい、だった二人。
3回目の今回は……ってお話しです。
慶は前回書いた通り、特に何も思わずことにいたっておりますが、
浩介は内心ぐるぐる回ってます。彼、実は内面病んでる子なので。
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『風のゆくえには~R18・受攻試行/浩介視点』
「とりあえず、バック? 後背位っての?」
「慶の顔見ないと勃たないから無理」
「………なんだそりゃ」
「やっぱり、正常位」
「だから前にそれでダメだっただろ」
「あー……」
「まあ、今回は時間もあるからゆっくり試してみるか」
慶ってやっぱり理系頭だな、と思う。
初めてラブホテルにきたおれ達。
これから愛の営み?をするはずなのにムードも何もない。何かの実験のような様相を呈してきた。
ジェル状のものをぬってくれているその手も真剣そのもので、愛撫とはほど遠い。患部を治療する医者のような……。ああ、慶は医学部目指してるから、その例えはちょうどいいのかもしれない。
そんなことを冷静に思いながらも、全然萎えていないおれは相当変だ。自覚はある。
でも、何も身に着けていない慶の均整のとれた体、白い滑らかな肌、そのきれいな顔を見ていたら、何を考えていようと体は正直に反応してしまう。
「よし。いいぞ。やってみよう」
「…………」
ホントにムードも何もない……。
「痛かったらやめるから言って?」
「それ言ってたらいつまでたってもできねーだろ。痛いっていってもやめるな」
「…………わかった」
緊張した様子の慶の足をぐっと押し広げる。慶は体が柔らかい。
「入れるよ?」
言うと、慶がうなずいた。前にしたときはすぐに痛そうな顔をしたから、その時点でやめてしまった。でも今回は……
「…………」
ゆっくりと押し入れると、慶がビクッと震えた。手がシーツを握りしめている。
やっぱり……相当痛いんじゃないだろうか。
「………慶」
やめようか、と言おうとしたところ、
「浩介」
慶がとがめるような目をした。そうだ。今回は痛いといってもやめるなって言われたんだった。
「大丈夫だから……ちゃんと……っ」
言わせる前に、ぐっと身を乗り出す。なかば無理やり押し入れる。慶、ごめん。
狭い道を強引にこじ開ける。ありえない締め付けに頭が沸騰したように熱くなってくる。
「はい……った」
うそだろ……。なんだこれ……。
慶の温かい体内がおれを強くとらえて離さない。今まで一度だって感じたことのない快感。
抑えきれず、ゆっくりと動かす。いってしまいそうになる快感が押し寄せてくる。
「……慶。やばいよ、これ……」
「……なにが?」
「気持ちよすぎる」
ちょっと笑った慶。愛おしい……。
今、慶の存在を強く強く感じる。
「つながってる……」
「うん……」
慶が手を伸ばしてくれる。その手をぎゅっと繋ぐ。
ああ……なんて、きれいなんだろう。
いつもいつも思う。
慶は美しい。整っている容姿はもちろんのこと、その強い意志をもった瞳は他の誰とも違う。
「……………」
そして、おれはいつも不安になる。
なんでこんな人がおれなんかを選んでくれるんだろう。どうしてこんなことをしてくれるんだろう。
突き上げるたびに、慶の手に力がこもる。普通の顔をしているけれど、痛さのために手が反応してしまっているのだろう。
「……………」
おそらく、おれに心配かけないために平気な顔をするようにしているのに違いない。違いないのに……。
やっぱりおれは頭がおかしい。
もっと激しく突き上げて、慶のその綺麗な顔を苦痛で歪めてやりたい、と思ってしまう。
慶の頭の中をおれで埋めつくして、おれのことしか考えられないようにしてやりたい。おれから与えられる痛みで、おれのことだけを、おれのことだけを、おれのことだけを……っ
「!」
はっと我に返った。
思いきり奥まで突き上げたときに、慶の眉がピクリと寄ったのだ。わずかに見せた苦痛の表情。
おれは何てことを………
「………浩介?」
いきなりやめたおれに、慶が不思議そうな顔を向けている。
「どうした?」
「あー……うん」
顔を見られたくなくて、枕元まで這っていきジェルの容器をとってくる。
そして、慶のものに塗りはじめた。
「え、なに? なんだよ?」
「このままだといっちゃいそうだから」
大嘘をつく。本当のことなんてバレるわけにはいかない。
「今度は慶の番」
「……別にいってからでもいいのに」
「いいからいいから」
優しく慶のものを包み込む。次第に大きくなっていく。慶が吐息をもらす。
(ああ、こっちの方が健全でいいな)
思わず笑ってしまいそうになる。痛みなんかじゃなくて、快楽でいっぱいにさせればいいんだ。おれの手で慶が気持ちよさそうな表情を見せてくれる。嬉しくなってくる。
「じゃ、しよ?」
でも、あいにくおれの体が硬すぎて正常位はできず、バックですることになったんだけど……
「……っっ」
この異物感といったら、筆舌に尽くしがたかった。
後背位でよかった、と思った。慶、よくあんな普通の顔してられたな。とてもじゃないけど、平気な演技なんてできない。顔を布団にうずめ、なんとかこらえていたところで、急に異物感がなくなった。慶がいきなり抜いたのだ。
「どうしたの?」
振り返ると、慶はうーん……といってペタンとすわりこんだ。すっかり萎えている。
なんだろう。おれのせい………?
「いや……なんかちょっと……」
不安になったところで、慶が肩をすくめていった。
「犬の交尾、思い出しちゃってな」
「犬の交尾………って」
……確かに。バックの体勢って、犬の交尾と同じだ。
そう思ったらおかしくて、ゲラゲラ笑いだしてしまった。慶も笑いだす。
「だって、犬の交尾っぽいだろー?」
「確かにね~~ちょっと動物的だよね」
「だろ? 鏡見なかったら気がつかなかったんだけどなー」
「なんで鏡なんてあるんだろうね?」
鏡に映る姿をみる。裸の二人。慶はやっぱり美しい。おれはやっぱり何の特徴もとりえもない。
「んーーー風呂でも入るか」
「………そうだね。せっかく大きいお風呂だもんね」
慶がぴょんとベットから飛び降りる。
慶は……このままでいいのかな。全然中途半端だ。
「慶、お風呂で続きする?」
「あーおれ、パス。もういいや。つか、無理。絶対思い出して勃たねー」
振り返った慶はひらひらと手をふっている。うーん…。
「それはバックがでしょ? 普通にすればいいじゃん」
「お前、無理じゃん」
「えー大丈夫だよー」
「大丈夫じゃねーよ。そんなん言うならこれから毎日柔軟でもしとけ」
「う……分かった」
ぐっと詰まっていうと、慶はなぜか、いたずらそうにニッと笑い……
「やっぱ続き、しようぜ?」
「え」
いきなりこちらに足を振り上げ、肩のあたりを蹴ってきた。突然のことにバランスを崩して後ろに倒れる。
「次、騎乗位な」
「え」
慶がまたがってくる。
えーっと、騎乗位……騎乗位って、なんだっけ……
すばやく頭を巡らせ、騎乗位を思い出したら、むくむくと起き上がってきた。
受け側が上にのってするってことだ。
でも、慶にまたあんな痛さを味あわせてしまうなんて……
「でも、慶……」
「でももくそもねーって言っただろ」
起き上がろうとしたところ、再度肩のあたりを蹴られて押さえつけられた。
ゆっくりゆっくりと、慶が下りてくる。
「あ………」
先が入り、思わず声が出てしまう。
そのまま慶が奥まで迎えてくれる。締め付けられる。ものすごい快感……。
「慶……」
下から見上げる慶の顔。色っぽい……。
慶の手が伸びてきて、手を絡ませてくれる。
「浩介」
慶の優しい声。
それだけで、もういってしまいそうになる。
慶はめったに「好き」とかそういうことを言ってくれない。言ってくれないけれど、名前を呼んでくれる声で、おれをまっすぐ見てくれる瞳で、愛を感じることができる。そして今、おれを受け入れてくれている温かいところから、繋いだ手から、溢れるほどの愛を実感できている。涙が出そうになる。
「慶……ありがと」
「何が」
不思議そうな顔をした慶。
「何もかもが」
そう。何もかも。慶がいるからおれは生きていける。慶がいるから壊れずにいられる。
「変なやつ」
「………ごめん」
言うと、慶が笑った。ああ、こんなに満たされることなんてあるだろうか。
「そのままゆっくり起きあがってこい。ゆっくりな」
「んー……?」
なんだかよく分からないけれど、言われたまま起き上がる。途中でずれて抜けかけたところを慶がぐっと腰を寄せて入れ直した。……痛そう。
「慶、痛くない……」
の? と、言いかけたところを、慶の唇に優しく包まれた。
「!」
電流が走るみたいになって、ビクッとなる。
「ああ……」
体の中も、手の先も、唇も、すべてが慶で埋め尽くされていく。なんて幸福感……。
「なんか……幸せすぎて死にそう」
思わずつぶやくと、ごちんと頭をぶつけられた。
「あほか。これでいちいち死んでたら、いくつ命あっても足んねーだろ」
「………慶」
慶がニッとしていう。
「これからいくらでも、何回でも何十回でも何百回でもやれるんだからさ」
そして、再び、深く深く唇を重ねてくれる。
ああ、慶……。やっぱり、幸せすぎて死にそうだよ。
「また、来ような?」
「うん……」
幸せな約束……。
二人でいられるなら他には何もいらない。
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と、いうことで。浩介パートも終わりー。
元セリフがあったので、そんなに時間かからず書きおわれた。
浩介パートで書きたかったことは、綺麗な顔を苦痛で歪めてやりたいっていう黒浩介と、好きっていってくれないけど、愛が伝わってくるってくだりでした。
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