畑倉山の忘備録

日々気ままに

なぜ虚偽の上に虚偽を積み重ねるのか

2019年01月27日 | 歴史・文化
なぜ権力ないし体制側が必死の執念といってよいほどに、科学としての歴史を拒否し、真実の歴史が民衆に浸透するのを恐れるのか。

権力を握っている体制側は、虚偽の上に虚偽を積み重ね、支配のカラクリのなかで民衆を戦争や困窮に追いこんできた。この支配の歴史の虚偽性が暴露されることがもっとも恐ろしいのだ。

一見、権力に無力な民衆の歴史が、実は一挙にその体制をくつがえす力を秘めていることを民衆が自覚することがこわいのだ。だからあらゆる手をつかって歴史の真実をおおい隠そうとしているのである。

(田中彰『未完の明治維新』三省堂新書、1968年)