俳号はオブラディオブラダ春惜しむ 春雨に濡るるは自業自得なり 行く春のダックスフンドの歩みかな キリストは春霰に打たれていたのだらう 隣人は就職失敗春の闇 空缶のからんからんと朧なり 野良猫に餓死迫りたる春の闇 終わりとは始まりのこと薄氷 被災地の牛立ち止まる春満月 朧夜の明治天皇すり替え説 イカスバンド天国春はまだこれから バンドマンの直立八十八夜かな 垂直に我れを見下ろす遅日かな 学生寮土足で上がる春の暮 長閑しや東北楽天イーグルス 永き日のかたちなきもの浮遊せり うららかやブルセラ世代の意味探る 鷹鳩と化して自在の空を得る 竜天に登り落下の日はいつか 泥と水の分離の迅さ入彼岸 三月の我が身ぐるりと万歩計