まほろば俳句日記

毎日見たこと聞いたこと感じたことを俳句にします。JーPOP論にチャレンジ。その他評論・エッセー、学習ノート。競馬も。

【通信句会】なまはげを襖外して迎えをり 他 まほろば選*朝カフェ付/一句鑑賞*結社編

2021-02-06 08:40:06 | 句会レポート
私が俳句に入門したのは1979年でした。まだ20歳代の頃、それからというもの数年間は結社に止まらず句会や総合誌に投稿しまくっていた。1985年頃だったか、突然句作そのものをドタキャンしてしまった。1980年代という時代の闇に足をとられて避けようも無く転倒して、その痛みを引き擦りながら28年もの間俳句表現の領域では起ち上がることは出来なかった。2013年10月にブログで俳句そのものを再開して7年以上経ったが、そこには見たことも無い俳句の妖怪たちが跋扈していた。そのケタ違いの深い闇の底で何が蠢いていたか・・それは意外にも相変わらずのストイックで安らぎに満ちた定型詩の現在形の薄暮の風景だった。

なまはげを襖外して迎えをり  (作者未詳) 
この作者は当結社の男性の新鋭の中でも断トツの存在である。2019年度新人賞作家で、NHK俳句でも活躍中とか。40歳前後で、俳句の既成の【定型性の毒牙】を逆手に取って自己のオリジナルの領域を慎重に手探りしてゆくような作風である。いかにも21世紀の俳句形式の在り様に相応しい。あの「なまはげ」を「襖外して」迎え入れるという離れ業を毎回見せてくれている。昨日、句会結果が送られて来たので、他の句も紹介したい。・・・《続く》

SATURDAY COFFEE



【通信句会】焼芋の甕にけぶりし昭和かな まほろば特選*焼芋カー&昼カフェ付/一句鑑賞*結社編

2021-02-05 13:24:15 | 句会レポート
昨年1年間、新型コロナに明け暮れましたが、それに加えて年末年始にトラブル続きでした。そのせいで大好きな新年の句を怠って来ました。唯一良いことと言えば、結社の主宰の評価が高まって来ていることです。その伏線として幹部の方々がベスト10句に度々選んでいただいていることがあるようです。この結社は戦前の新興俳句を継承する地方結社ですが、その東京支部の昨年の新年句会に初出席したところ、早速翌月から通信に変わりました。それも丸一年に及び、二度目の緊急事態となりました。本誌と相俟って何とか飛躍のキッカケを作りたいものです。最新の句会の結果は今日か明日届きますが、そうなると自分の成績ばかりに目が行くことになります。そこで私の選句結果を振り返っておきたいと思います。

◎焼芋の甕にけぶりし昭和かな (作者未詳) 
一見、焼芋が甕の中でけぶっているというだけのありふれた光景ですが、私はそれだからこそ特選にいただきました。焼芋→けぶる→昭和もつき過ぎると考えられなくもないでしょう。しかし、この【昭和】の光景を何より尊いものであると感じます。これを俳句形式にとっての普遍的な言語表現と認識するだけではなく、宙ぶらりんながら私自身も含む21世紀人類にとって捨て去ることの出来ない普遍的な生活体験として胸の奥底に刻み込んでおきたいのです。現在ではネット販売などでホーロー製の比較的小さな家庭用のものも普及しています。都会でもよく見かける石焼芋のリヤカーに積まれているのも、よく見ると清潔であか抜けています。スーパーやコンビニのものは言わずもがなでしょう。故郷で親に言われて路地裏の行列に並んで、新聞紙で包まれた焼き立ての所謂焼芋とは別物に成り果ててしまいました。それでも捨てがたいあの暖かさ、懐かしさは何ものにも替え難いものです。帰宅後にその他の句について書きます。・・・《続く》

COFFEE LOUNGE

昭和の光景 残念ながらリヤカー式の焼芋屋は見当たりませんでした。




クロワッサンはひかりの束/句会レポート~プロローグ3の終わり(その213)

2014-11-02 21:36:43 | 句会レポート
今日は土曜の句会の選句で始まり終わる一日であった。いつもは選句表が郵送され、結果をメールで返信するのが、3連休のため時間短縮のためコンビニでFAXを受け取る方式であった。それがアダとなって1枚目がサイズが合わず、20句ほどが読み取れなかった。結局電話で補填しやっと全句揃った。7句選のうち特選に取ったのは前頁の通り 澄むやクロワッサンはひかりの である。私の選を加え全体の成績は後日郵送される。自分の句よりこの特選句の方が気になる。作者名だけでも知りたいと編集長に問い合わせるとKさんであった。納得のゆく作者名であった。それにしても『クロワッサンはひかりの束』とクロワッサンを主語(「は」)としたところが優れている。これで「や」で切れた大きな「秋澄む」の空間のなかでクロワサンが生き生きとしてくる。その上でクロワッサンが【ひかりの束】に変貌する。それを見届けるのはもちろん作者である。・・《続く》 

秋澄むやクロワッサンはひかりの束/句会レポート~プロローグ3の終わり(その212)

2014-11-02 18:26:05 | 句会レポート
昨日の句会の選句表はさきほど送られて来た。新結社とあって人数は少ないがいずれ劣らぬ名手揃いである。当然全員基本は出来ている。あとは各人の句作に対するスタンスのみである。私は無季容認派で自由律、破調、口語・・と何でもありである。すなはち俳句とは言語による普遍的な自己表現であり一行の定型詩である。近代俳句の21世紀のいまになっても死に切れず醜態を晒すアナグロニズムには用は無い。とは言っても人間とは弱い生き物で知の厳しさより既存の季語季題に自己を任せた方が当面の精神の慰安を得やすい。所謂季題趣味や盆栽俳句である。とりあえずここではそういった趣味性の希薄な定型表現による自己更新を志向するものを選んだ。 秋澄むやクロワッサンはひかりの束 結社句会のため作者名は公表しないが実に見事な季語の斡旋とそれに見合った適確なことばの配置と言える。クロワッサンのあの味や視覚イメージは【ひかりの束】と言うに相応しく、それの重なり合った『束』という表現も安定的で美しい。今回も良い句に出合ったものだ。次回は必ず出席して作者にエールを送るつもりである。きっと突き抜けた魂のかがやきを希求する作者であるはずである。・・《続く》

気張らずに生きる/句会レポート~プロローグ3の終わり(その152)

2014-10-09 14:38:34 | 句会レポート
9ヶ月ぶりの句会の結果が判明した。参加者12名計60句で最高得点は11点(特選3並選1)で 気張らずに生きむと決めし草の花 であった。ちなみに私はこの句には点を入れていない。続く高得点句は10点1句、9点3句であるがこちらも私は点を入れなかった。結社句会でもありその理由などは割愛したい。次に自分の句であるが 白式部死後の世界を愛おしむ(3点) が最高であった。主宰の秀逸(2点)がありがたい。他には 白球の行方深秋の空遠し(2点)が編集長の秀逸が入り感謝である。他2句は 声高らかに糸瓜の蔓の息つなぐ(2点*主宰並選) 秋黴雨唯識論を読みすすむ(2点*主宰、編集長各並選) 糸瓜忌の路地に住宅喪失者(1点*主宰並選) であった。あまり深く紹介すると結社の著作権にも関わってくるのでこれ以上書かない。先に紹介した私の特選句 一の酉夢見るやふな面を買ふ は7点入り、私の他にもう一人特選に入れていた。これも嬉しい限りである。【夢見るやふな】がとても和んだ佳句であった。 二の酉は愛や夢など山積みに  まほろば