ペダルのない自転車建国の日が続く
長芋の死を恐れずに摺り下ろす
惜春の半分欠けた地上絵図
花茣蓙に世界は終ると書く自由
咲く前に散る天国はなかったか 無季
鉄扇のパタンと閉じて寒に入る
孤独死を笑わば笑え寒の月
胃カメラが私を暴く寒月夜
H2ロケット巨根となりて寒なかば
ドライフラワー切り刻むとき寒つのる
オザキの死いつか忘れて寒明くる
死化粧の新宿の母撃たれをり
新宿にしかない儚さ春の雪
南部風鈴地獄はどこにあったのか
神武東征新宿ゴールデン街出たところ
夜鳴きの灯ただそこにある古希の人
バンアレン帯にぽっかりと穴誰か死ぬ
春立つ日人類の春待つべきか
黄落すローマ帝国衰亡史
冬紅葉もとはと言えば遠紅葉
新党くにもり水島聰と書く白さ
暴走す建国の日の恋愛論
ガザの死を数え一本の杭を打つ
モルヒネで断たれし虚空白泉忌
自爆後のいつもと違う空の青
惜春の愛あることば夢のやう
一年で覚えたギター春惜しむ
惜春の光の束に浸りきる
惜春の句無季の句と呼ばれゐる
惜春のライオン像が新宿に
惜春の水場をもとめ鳩といる
惜春のまつりと知りて街を行く
惜春のバッドプリンセス発光す（アイドルグループBANCESS）
当落の見えぬ惜春の選挙カー
惜春の坩堝人間に死はありや
惜春や五右衛門風呂の蓋を取る
惜春のせんべい布団いまもあり
惜春のウクレレ無言を押し通す
惜春や魏志倭人伝捨つべきか
惜春やカルト救済いかにせん
路上飲みいつしか春を惜しみけり
茫として春を惜しむといふこころ
ストリートミュージシャン春を惜しまず去る
春惜しむ悔恨の想いふつふつと
歌手になる決意を秘めて春惜しむ
春惜しむとき暗澹たる想い
金龍山つぎは本龍院春惜しむ
春惜しむ東京ガールズコレクション
バッドプリンセス後ろ姿に春惜しむ
人間は神の子なりき春惜しむ
空中世界という名のシンガー春惜しむ
りほたろは里穂太郎のこと春惜しむ
マイナポイント２万をGET春惜しむ
こころには効かぬ鰻の身体かな
冤罪と知らず鰻を食べ尽くす
ロスジェネと呼ばれ続けて鰻去る
うなぎいまも鞭打たれゐる待ち時間
鰻屋の叶わぬ恋の一部始終
産卵期鰻屋いつか海になる
希望の歌いつか忘れて鰻喰ふ
水を得たうなぎまたねと言い放つ