311のいまここモノトーンの空ばかり 311のいまここ西新井の姫いずこ(三陸出身の女性美容師) 311のいまここ行方不明の空と海 311のいまここ青春をやり直す 311のいまここ浜通り瓦礫の山 311のいまここ自由とは死のことか 311のいまここ贖いの日々となる 311のいまここ傲然と街を行く 311のいまここ被災者に翼あり 311のいまここ自主避難といふ言葉 311のいまここはからずも無謬なり 311のいまここあれが原子の灯 311のいまここ松島の波高し 311のいまここ父無し子母無し子 311のいまここ何処からか死者の聲
春の月正岡子規の消えた街 歯科医院出て春月にまた一歩 朧夜を真直ぐ行けば死屍累々 春北斗起死回生といふことば 春満月バックネットの揺れ始む 卒業す弔いの鐘高く撞く 雪形のわたしの貌の白きこと 山笑ふ地上に降りた天使とか(第一次シラケ世代) 死してなほ熱く生きよと大焼野 村上龍のイビザ焼野の暮れなずむ 末黒野へ未踏の空へ白面婆 生と死の狭間干潟を見て来たよ すべてを捨てて来た男は強ぇな雪解川