新型ウイルスが広まった2020年の夏。カフェの店長を務める29歳の清瀬は、恋人の松木とすれ違いが続いていた。原因は彼の「隠し事」のせいだ。川のほとりに立つ者は、水底に沈む石の数をしりえない。本当にそうだなぁと思った最近の経験と相まって、あ、今読むべき本だったのね、と思った。最近各地で頻発する地震の、一つの発生地が、高校時代の友達の住む場所だったから。何年も連絡を取っていないにも関わらず「大丈夫だっ . . . 本文を読む
毎日こつこつと働き、余暇には本を読み、紅茶を淹れて音楽を聴く。つつましく生きてきた律子。すごく同感しながら読み進めていたら、急にファンタジーな世界に移っていって少しだけあっけにとられながら読了。それまでどれだけ誰かに愛されていようとたくさんの愛するものがあろうと楽しく暮らしていて、人生に満足していようと、ひとりで生きてひとりで死んだ、というだけで他人に人生の価値を決められてしまう。そんなのも、うん . . . 本文を読む
本当は『鯨オーケストラ』という本を読もうとしていたのだけれど、『流星シネマ』『屋根裏のチェリー』に続く本だと知ったのでまずは『流星シネマ』を再読。都会のへりのガケ下の町。鯨塚があるその町で、〈流星新聞〉を発行しているアルフレッドの手伝いをしている僕。深夜営業の〈オキナワ・ステーキ〉を営むゴー君。「ねむりうた」の歌い手にしてピアノ弾きのバジ君。ガケ上の洋館で〈ひともしどき〉という名の詩集屋を営むカナ . . . 本文を読む
「好きでやってることだすけな、仲間っこが来てければ嬉しいよ」そんな言葉が印象的。趣味もなく学校でも進路に迷っていた綾。母が認知症となり、接し方に悩む香織。長らく引き籠もっていたより子の孫・亮平。苦しい時、嬉しい時、そして誰かを想う時。布の目を数え、模様を作る。青森の南部菱刺しを初めて知りました。こぎん刺しとはまた違うものでした。どちらも私は未経験の手芸だけれど、手を動かすことで気持ちが満ちていくの . . . 本文を読む
以前ネコ好きさんからオススメされて購入しておいたくせに積んであった本から。ツンデレ男子(実はネコ)が、語尾が「にゃ」にゃにゃにゃ…な言葉でしゃべりまくっている本と一切喋らないし大抵の人にフレンドリーではない(ごく一部の人にだけ心を許す?)書店の看板猫が事件の鍵を握っている本。ははは。どちらもシリーズもの。あら、案外おもしろいかも . . . 本文を読む
バブル期の日本を離れ、ピアノに打ち込むために東ドイツのドレスデンに留学した眞山柊史。音楽大学で出会う天才的才能を持つ学友たち。正確な解釈でどんな難曲でもやすやすと手なづける、イェンツ・シュトライヒ。奔放な演奏で、圧倒的な個性を見せつけるヴェンツェル・ラカトシュ。自分の音を求めてあがく眞山は、ある日、教会で啓示のようなバッハに出会う。演奏者は、美貌のオルガン奏者・クリスタ。本の中で鳴り続けるラフマニ . . . 本文を読む
イギリスの下町で懸命に働く家政婦のおばさんが、仕事先のお宅のクローゼットにあったディオールのドレスに魅了されて私もディオールのドレスを手に入れたい!と、がんばるお話、ではあるけれど、それだけではない。前半、本の半分くらいまでどんなに努力をして生活を切り詰めて何時間も働いてやっとこれだけのお金を貯めて…に費やされて一体いつ、フランスに行くのかしらってくらい。手に入れても、着ていくところ . . . 本文を読む
昼休み読書。 医師である夫から突然離婚を言い渡されてしまったお菓子作りが得意な母・茜。夫の身勝手さに傷つき、離婚成立後もショックを引きずる茜を励まし、手作りのパウンドケーキの販売をすすめる娘・七。「人生へのリベンジ」をかけて、母娘二人のケーキ販売が始まった! これは、塞翁が馬、なのか、こんなに物事うまく進まないよーなのか…七転び八起き…?どちらにしても、人生リベンジでき . . . 本文を読む
自分を大事にしないと、誰かを大切にすることはできない本当に、そう思う最近です。自己中心にして良い、というわけではなく。家族の幸せを願うことは自分を削って無理をすることとイコールではない。何かと世の中の女性は、辻褄の合わないところを自分が頑張ることで埋めようとしがちだよね。 . . . 本文を読む
ひょんなことから、隣に住む謎の老婆・八重の部屋の片づけを手伝うことになった独身の阿紗。隣に八重さんが住んでいたら、ちょっと…気が重いかも?と感じながら読んでいましたが、人は見かけによらないとか、それぞれに歩んできた人生がある、とか、そんなことをしみじみ思いました。強く表立って見えるところにどうしても注目してしまって(第一印象)こういう人だろう、と決めがちな . . . 本文を読む
あのときに戻って、別の選択をしたい、または、あの時別の選択をしたらどうなったんだろう、と強く、あるいはずっと思っていることって、あります?強く思うことがあって、この電車に乗って、ここを通過したら、見たこともない駅にたどり着き、別の選択をしたらどうなるのかを見にいける。ただし、あくまで見にいくだけで、今の生活に何らかの影響がでることは決してない。行きたい?そうねー、そうい . . . 本文を読む
職場でそこそこうまくやっている二谷皆が守りたくなる存在で料理上手な芦川仕事ができてがんばり屋の押尾と帯には書いてあったけれど。どこが?? と頭の中にクエスチョンマーク。こういう人いるかも、そういう気持ち、思考になることはある気もする、と理解する気持ちはところどころ芽生えるけれど共感は、したくないような複雑な感じ。そこそこ上手くやっているつもりなのは本人だけでまわりに何も . . . 本文を読む
『そして、ぼくは旅に出た』の大竹さんが、ノースウッズへ旅立ったきっかけとなった本。運命の出会いだったんだね。そして何となく、「本当にある本なんだ…」変な感動。例えて言うなら、子供の頃芸能人って本当に生きているんだ…って思ったのと同じ感覚。(テレビという別世界の生き物だと思っていた。決して街中なんかですれ違うことなどありえないのだ、と。)本にあふれているオオカミの躍動感。 . . . 本文を読む
ひとり旅も第4弾。長野の東山魁夷館を観に行く話から始まって行きたい!戸隠も行きたい!(本ではそこまでは行かずに蕎麦を食べていた)と思う。ひとり旅、どのくらいしていないかなぁ。二十代の京都旅行以来かも。そうそう、そんなこともしてみたいんだよねぇ、と本とは全然違うことに思いを馳せる。主人公と同じことがしたいわけではないので、なぞるよ . . . 本文を読む