くまだから人外日記

くまだからくまなのだ。

それでいいのだ。

四方

2014-02-12 02:08:18 | くまのくまによるくまのための人外日記
当面は四つを使い分けしてみる。

東西南北。
白青赤黄。
四聖獣。

札幌が碁盤の目に分けられたのは、中国に習った京都をモチーフにしているのならば、四聖は市政(姿勢・死生)に通ずる筈。

長く暮らして来て、最近やっと気脈の何たるかが理解し得てきました。


まだまだ気脈から理を得るまでには至ってはいないけどね。

【偽書】短期集中掲載『来夢の扉』…青葉起(た)つ 6

2014-02-12 00:11:39 | 【偽書】シリーズ
「安いもんだよ。俺が手ぶらでもチームが勝利するのなら」
青葉は笑顔をみせてミックを見送ると、ユニフォームに着替え始める。


ある決意を秘めて、青葉は鏡に向かってバットを無心に…いや、鏡を見る事無く、自らのスイングの音を確認する様に何度も繰り返し振る。
速く遅く繰り返されるスイングに、いつしかモニターからは試合開始を告げるスタジアムDJのコールに合わせてチームのナインがグラウンドに散る映像が映し出されていた。
捕手と投手を残し、野手の最後にミックがコールされ守備に向かうのを聞き取ると、青葉は小声で囁く。「今夜は頼んだ」と。

そして再び無心にバットを振り始めた。



「投手八人を注ぎ込む必勝継投を見せてチームは連敗を止めたッ!そして守りきったナインの歓喜のハイタッチの輪の中に、打撃のリーダー青葉選手の姿はありません。遂にDHはおろか代打にも姿無し。ベンチにも姿が無いとのリポートもあります。故障か不振からの離脱か?ともあれチームは一息つけた様にも見えます。ここから反撃か?」
放送実況席からの熱唱に、チームの勝利を喜びつつ複雑な思いの背番号41レプリカのファン達も球場の席を立つ。
その人混みを避ける様に足の悪い老人が傍らの夫人に手を引かれて長い階段を最後に上がって行く。

「青葉選手は出ませんでしたね。あなたがあんな話をしたからでは」
「監督の考え方だろう。青葉選手は単に今日は出番が無かっただけだ。先発は苦手投手だったしな。大空大地選手の一発と、ランナーを置いた場面で天野選手がしぶといタイムリーを打ったのが、二人共右打者だ。今日は青葉選手はロッカールームでバットを振っていただろう。明日以降に期待だよ」

互いにいたわりあう様に、老夫婦は階段を一段づつ上がって行った。

出口に向かう老夫婦にあえて声をかけるのを止めたヤチと青葉に呼ばれていた球団スタッフは、人もまばらになってきたメイン通路を、帰路につく人ひとりひとりに会釈しながらベンチ裏に向かう。



「よーし。今日は飲みに行くぞ。今夜は勝利さんの奢りだ」
「ミックさん、“今日も”でしょ」
「ハルキは居残りな」
「えー。全打席出塁の貢献者に冷たくないですか~」
「はいはい。希望者はいつもの焼き肉店に集合。最上級ロース食べ放題だぁ」
若手野手を引き連れて天野美琴がロッカールームを後にしても、ひとり分ロッカーに着替えの私服が残っていた。