くまだから人外日記

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サウザント・クロノス・ナイツ 銀髪のノーラ 『四つのクロノス その2』 36

2018-06-21 02:20:24 | 【偽書】シリーズ
「だがやはり相手は魔獣。無傷ではいられなかった。次に磁界をねじ曲げて雷を落として来たのだ。必死に男が庇う事で作った時間で魔獣を封印する呪文を詠唱し終えた娘は最後の印を結び終え、魔獣は封印された」
「良かったね。娘さんが無事で」
「しかし…」
「エッ…」
「その娘を庇ったばかりに、その男は背中に傷を負った。硬化してしまえば落雷がその娘まで貫くと知っていて、落雷を生身の背中で受けたのだ。その傷が祟り後の戦乱で男の妻を庇う時、背中の傷がもとで硬化できなかった背中を貫かれ、庇った妻もろとも男は息絶えた。星の長老に託した我が子に会いに戻れずに」
「まさか、その二人連れの男女が僕の父様と母様?」
「そうだ。そしてその男が雷から庇った術式を操る娘が誰か分かるか」
「術式。雷…まさか、ラァサ姉様」
「ご名答、だ」
「それでラァサ姉様はあんなに嫌いな雷を星で自ら進んで…」
「詔として、自ら苦手な厄災を被る事を科したのだろう」
「そんな…」
「怨むか?その娘を…親が死ぬ遠因となった者を」
「…分からないよ。今は…今は混乱していて」
「で、どうするよ。その赤い火喰い鳥の力を教皇奪回に振るうのか?」
「ひとたび力が現れたらボクの意志では制御出来ないんだよ。下手をしたらスペクター達みんなを巻き込んで…壊滅すら…そんな」
「だが、お前さんはもうその力を持ってしまった。教皇救出の義勇軍は動いてしまっている。リーダーはお前さんだ。腹を括るしかあるまい。力のきっかけはあの技官のお姉ちゃんだろう。彼女はお前さんを助けたい一心で荒くれ者の騎士達に立ち向かった。それは上官の為とかじゃない。“友達”だと言ってくれた年下のノーラの危機を放ってはおけなかったんだ。そんな思いで生かされたお前が迷っていたら、あの技官のお姉ちゃんの命が無駄死にになってしまうんだぜ」
「分かってるよ。でも現実にこの力がスペクター達部隊のみんなまでも滅ぼしかねないんだよ」
「甘ったれんなよ、ノーラ」
「スペクター」
「俺達は教皇救出に命を賭けて各地から集まった騎士なんだ。お前さんのセンチメンタルに付き合ってる暇なんて無いんだ。俺達騎士の親分のお前さんが命を賭けるって言うから集まってるんだぜ。ねんねちゃんの戯れ言に付き合う為じゃないんだ」
「そうだね。スペクターの言う通りかも知れない。教皇様を救出出来るのは他の誰かではなく僕達なんだよね」









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筆者敬白