「ああ。俺の爺さんはあの教皇領の塔の建立に人足として駆り出された事があるそうなのさ。その時、二つある塔のうち、東側の塔を受け持ったんだそうだ。そこで上に登る螺旋階段の回廊の途中であるカラクリを作る班に入れられたらしい。それは回廊を遮断して螺旋に登らなくても上層階と繋がる言わば近道…と言うか本来は外敵が螺旋階段を上がってきた時鉢合わせせずに下へ降りる言わば抜け道だ」
「なる程。それは興味深いな。因みに西の塔はどうなのだ」
「爺さんは東側しか加わっていないから西側については分からない。だが東側なら間違いない筈だ。目印は途中の回廊部分にある色違いのはみ出した岩場の壁石、これを押し込むと回廊が隠された壁が出て来て塞がれ、新しい階段が現れるそうだ」
「色違いの壁石か。何かの役に立ちそうだね」
「実際には試した事は勿論無いが、俺の爺さんは嘘は言わない人だった。幼い俺にも分かる様に丁寧に教えてくれた話さ。役に立てばいいがな」
「ありがとう。ボク達必ず教皇様を助け出すよ。待っていて。町の人達が互いに仲良く暮らせる様にするからね」
「しかし旦那よ。こんな若いしかも娘さんまで従軍させるとは、帝国も人手が足りないのかい?」
「だそうだ。ノーラ」
「まあ、実際ボクは女だし、元服もしていないけどね」
「息子の恩人とは言え若い娘さんが争い事など…」
「奥さん、それは大丈夫だ。このノーラは今回の騎士団の総大将、騎士団長なんだからな」
「えっ…」
「お前さん、女だてらその若さで騎士団長…?」
「お姉ちゃん、団長様なの?凄いや。だからオイラを救ってくれたんだね正に騎士中の騎士だ」
「騎士団長だからじゃないよ。君の命が危なかったから助けただけだよ。それは普通の事だろ」
「あの暴れ丑の前に躊躇なく立ち塞がれるなんて常人ではとても」
「そうですよ。やはり若くても徳ある騎士様とはそう言うものなのですね」
「まあ、ノーラは別格、特別だ。星域を治める執政官をダチ呼ばわりする奴だからな」
「それ誉めてるの?けなして居るようにしか聞こえないんだけど」
不満げな顔をしたノーラを見て少年が笑います。
「アハハ。改めてありがとう騎士のお姉ちゃん」
「ノーラでいいのに。うん。今度はちゃんと周りに気を配って歩こうね」
「それとこれは気持ちばかりのほんのお礼なのですが…」
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他SNSへの投稿は継続しております。
ストーリーに引き続きご興味がございましたら、〔検索ワード【偽書】 〕などで検索頂けましたなら幸いです。
筆者敬白
「なる程。それは興味深いな。因みに西の塔はどうなのだ」
「爺さんは東側しか加わっていないから西側については分からない。だが東側なら間違いない筈だ。目印は途中の回廊部分にある色違いのはみ出した岩場の壁石、これを押し込むと回廊が隠された壁が出て来て塞がれ、新しい階段が現れるそうだ」
「色違いの壁石か。何かの役に立ちそうだね」
「実際には試した事は勿論無いが、俺の爺さんは嘘は言わない人だった。幼い俺にも分かる様に丁寧に教えてくれた話さ。役に立てばいいがな」
「ありがとう。ボク達必ず教皇様を助け出すよ。待っていて。町の人達が互いに仲良く暮らせる様にするからね」
「しかし旦那よ。こんな若いしかも娘さんまで従軍させるとは、帝国も人手が足りないのかい?」
「だそうだ。ノーラ」
「まあ、実際ボクは女だし、元服もしていないけどね」
「息子の恩人とは言え若い娘さんが争い事など…」
「奥さん、それは大丈夫だ。このノーラは今回の騎士団の総大将、騎士団長なんだからな」
「えっ…」
「お前さん、女だてらその若さで騎士団長…?」
「お姉ちゃん、団長様なの?凄いや。だからオイラを救ってくれたんだね正に騎士中の騎士だ」
「騎士団長だからじゃないよ。君の命が危なかったから助けただけだよ。それは普通の事だろ」
「あの暴れ丑の前に躊躇なく立ち塞がれるなんて常人ではとても」
「そうですよ。やはり若くても徳ある騎士様とはそう言うものなのですね」
「まあ、ノーラは別格、特別だ。星域を治める執政官をダチ呼ばわりする奴だからな」
「それ誉めてるの?けなして居るようにしか聞こえないんだけど」
不満げな顔をしたノーラを見て少年が笑います。
「アハハ。改めてありがとう騎士のお姉ちゃん」
「ノーラでいいのに。うん。今度はちゃんと周りに気を配って歩こうね」
「それとこれは気持ちばかりのほんのお礼なのですが…」
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