くまだから人外日記

くまだからくまなのだ。

それでいいのだ。

天宮の乙女達…タジリスクの聖戦(9G) 95

2017-08-22 00:41:15 | 【偽書】シリーズ
「四人が一命を取り留めた事への礼は述べます。特に…」
「イコルはヤバかったですね」
「あなたの突出した救護技術は講座を担当する医療班長がべた褒めでしたよ」
「ルリ達は仲間ですから当然です」
「な。私達が駆け付けて少しは役に立ったならばそれでいいじゃん」
ポットの脇からジュンが顔を出して言う。
「ちょっとジュン。どこから顔を出してるのよ」
「だが、君達の規律違反が消えるものでもない」
「そうですね。ですが、今年は例年に無いくらいのトラブルにみまわれていますし、その分昨年の参加者の様にいがみ合う暇も無いでしょうね」
「それは…」
「違うよ。トラブルが多いのはルリが居るからだし、そのトラブルに団結するのもやっぱりルリが居るからなんだよ」
「普通は逆だろう。射手師ジュンよ」
「違わないよ。去年の経緯は詳しくは知らないけれど、私達は私達なりのやり方があるんだよ」
リーダーのジュンを庇う様にミトが言う。
「まあ、くたびれ儲けだけど、ルリの班を見捨てておくのもどうなのさ」
規律違反の救出に懐疑的だったフィンも言う。

「そうしてまで規律違反を犯したのは何故なんだ」
教官のひとりが四人を見渡して尋ねる。

「ルリが居る班から…かな」
「ルリが居る班だからだよ」
「そうそう。本当に世話が焼けるよ。全くルリは…さ」
「ともかく、あのままルリ達を放ってはおけないですよね」
フィン、ミト、ジュン、そしてポットは互いの顔を見合わせる様に言う。
不甲斐ないリーダーを見捨ててはおけないと言う顔で。
不甲斐ないリーダーですいません。

「今回の件は、講師陣の預かりとする。いいか。これはレッドカードものだからな。次は無いぞ」
講師の言葉に胸をなで下ろすジュン達。
「と、当然だろ」
「まぁ、規律違反はあくまでも規律違反だからな」
「何とか首の皮一枚残したか」
「挽回は可能よ」
今度は、ジュン、ミト、フィン、ポットの順で頷き合う。

「所で何でメリーの班はセーフなんだよ」
「セーフとは言っておらん」
「おや?じゃあ何?」
「メリーの班は自ら追試を申し出たからそれを認めたまでだ」
「じゃあ私達も…」
「聞きかじりで便乗は認めん」
「ずるいな」
「おや。二番手でトライするか?いい度胸しているな。射手師ジュンよ」
「メリーに負けていられないからね」
鼻息を荒くしてメリーに対抗心を燃やすジュン。






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筆者敬白

天宮の乙女達…タジリスクの聖戦(9G) 94

2017-08-09 09:43:54 | 【偽書】シリーズ
「今すぐこの牢獄を出る」
「やめておけ。フィンよ。やりすぎだぞ」
「受刑者をニックネームで呼んでもいいのか?看守筆頭様が」
「たんなる末端の役人だ」
「故郷には女房子供とか居るんだろ」
「昔…な」
「そうか。悪い事を聞いたな」
「いいさ。お前さんは咎人として親の仇を取り、しがない末端の役人は泣き寝入りだ…」
「病気とかじゃなかったのか」
「反乱とも正規軍の狂乱とも言われている。だが、しがない官吏に何が出来る」
「牙を捨てたのか。プライドと一緒に。いや、よそう。今はこのジェイルを抜けられればいい。ルリやメリーの所へ向かえるのならば」
「一応聞く。その人質を解放する気は無いのか?」
「無い!」
「だろうな。愚問だったよ」
「腰の銃を抜けばいい。それが看守の仕事だろ」
「ふざけるな。戦巫女一の威力を誇るお前さんの“力”にこんな安物の支給品がかなう訳無いだろ」
「値段じゃないだろ」
「ああ。プライドの問題か」
「それと使命感だよ」
「行きな。捕虜が居ちゃ手も足も出ないわ」
「賢明だ、捕虜の安全第一だろ」
「ひとつ頼まれてくれ」
「何を?」
「ティガーに会ったら伝えてくれ。古い窓に口づけを忘れるな、と」
「ティガーと旧知なのか、お前は」
「頼んだぞ」
「生きて会えればな。何せ惑星諮問委員会の追及を受けながら、負界領域へ向かうんだ」
「ささやかながら武運を祈ってやるよ」
「宛てにしちゃ居ないさ」
「適当な所で捕虜は解放してくれよ。文民を戦場に連れ出さないでくれよ」
「ガスパーの惑星獣の前にでも置き去るか」
「よせよ。救出するのが臭くてたまらん」
「知った事か」
フィンはそう言い残して士官達が移動に使う飛空艇を監獄の機械惑星から離陸させる。



「今回の試問は全員落第か」
「そうして欲しいのかね」
「んな訳無いだろう。私達は落第している暇は無いんだよ」
ジュンは教官に喰ってかかる。
「ならば、何故勝手に獅子原瑠璃の班の救出に向かった。規律違反を知っていながら」
「見捨てておけってのかい」
「何の為のミッションだ?」
「でも、それならメリーの班も失格だろ」
「そうだな…」
「あれ?私達とメリーの班に何の違いがあるのさ。どちらもルリ達の救出に向かったんだから同じだろ」
「それにしても…」
「話を反すなよ。結論を言ってくれよ。落第なのかどうか?」






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