くまだから人外日記

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黍(きび)色ミラージュ騎士団(四聖獣〜戦巫女の間のストーリー) 23 枯れ第2章招かれざる者 2

2020-04-14 00:36:19 | 【偽書】シリーズ
ぶ然とするガイロックスをなだめながら、スダーフネスは団長室であるギルバートの居室を出て行きました。
「さて。クイーンにお目通りを願う前に、万が一の保険に監視を付けておくか。執政官とその怪しげな配下に」
用心深く呟いてギルバートは居室を離れて行きました。


「遅刻か?あの惚け者は」
ガイロックスは出陣の支度を揃えた騎士団の顔触れを見渡して怪訝そうな顔を隠す事無く言います。
そこには団長のギルバート以下、メンバーが顔を揃えておりました。
ただひとり、リンドバーグを除いて。
「いや、遠征するメンバーはこれが全てだよ、ガイロックス」
ギルバートはこともなげに言います。
「リンドバーグはどうした?まさか知恵熱か?」
「ガイロックスじゃあるまいし」
「何だと?ダンク。お前が言うのか」
「よしなさい。お二方共。リンドバーグは団長が自ら指名して今回の遠征から外したのですよ」
スダーフネスはいつも通りの落ち着いた低い声で二人を諫めます。
「その何とかと言う執政官の監視ってやつかな?団長様よ」
スティーブは訳知り顔でニヤリと笑います。
「監視だと?」
「ああ。お前さんとは旧知と言うか因縁があんだろ。お前さんの様子から団長様がリンドバーグを監視に選んだ。そうなんだろ、団長様よ」
「いかにも」
ギルバートは顔色を変える事なく答えます。
「リンドバーグ無しで遠征すると言うのか」
「ステラが加入しましたし、リンドバーグには難役を頼んだのですよ、団長は」
スダーフネスは他の騎士達に向かってギルバートに代わり代弁します。
「まあ、その何だ。あの変わり者には良い仕事かもしれん」
「へへぇ。変わり者ならガイロックスも負けていねえんじゃねえの」
「スティーブもな。所で団長。正直リンドバーグよりは私やダンクの方が監視なら…その」
「リンドバーグの性格では向いていない…と言いたいのだな」
「そうだよ。団長。それにおいらやガンムバードの方が偵察としてはリンドバーグよりは目立たないだろ」
「目立っても良いのだ」
「そうか。下手な事をすればこちらに筒抜けだと抑止力になれば良いのか。ならあの風体は生きるのか」
「案外世捨て人なりに向いている役目かもな。今回は」
「さて、出かけるかな、団長」
そう声を発しジュージ・ロワが武具を持ち上げると、他の騎士達は無言で頷き出口へと向かいました。
西の国境線を荒らす害族退治がヴィエラの騎士としての初陣となるのでした。







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筆者敬白

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