「確かにギルバートの仕えしクイーンより騎士を拝命したとブラン公よりの親書には記されておるが、儂は女性が剣を振るうのはどうにも好かんのだ」
「教皇様っ!」
「どうした、ヴィエラ?」
「古(いにしえ)、太古より、星々の諍(いさか)いの度に、四聖の加護を得し四人の皇女や女騎士が現れ戦乱を収め、新たなる歴史を紡いだと聞いております」
「古き伝承の後に脚色された逸話であろう。神事を司る儂が言うのもおかしな話だが、その方が臣民に説くのに都合のよいものに変化しておるのではないのかな」
「誠に申し上げ難いのですが、それは否」
「何と?」
「かつて、幽閉されておられた教皇様の先祖を救出したと言う辺境の星の娘…騎士とは名ばかりの元服にも満たぬ娘が挙兵し、多難の末に古龍の血を受けた竜騎士を倒し、見事時の教皇様を救い出したなるは真実」
「逸話をまるで見てきた如くによくもまあ…」
「ならば…」
ヴィエラはドレスに纏われた左の腕を晒して見せます。
「それはもしや…」
「誹の紋章に御座います」
「うら若き娘がそのような刺青など…」
「刺青ではございません」
「たいがいにしておくが良いぞ。儂をたばかる気か」
「たばかってなどおりませぬ。失礼」
ヴィエラは一歩進み、教皇への距離を詰めました。
「とくとご覧下さい」
「真(まこと)と申すのか?馬鹿馬鹿しい」
「私にはこれ以外他に騎士を願い出る証を持ちません」
ヴィエラが左腕を目線にまで持ち上げ教皇への方へ更に一歩歩みを進めた時でした。
「失礼ながら、面白い趣味をお持ちの様子ですわね」
謁見の場となる小聖堂の正面より、使いの従者を二人引き連れた女性が、教皇の下使いに導かれて入堂して来たのです。
「そなたは先程謁見を終えた…帝国皇家筋ヴュルドのタキューレス嬢」
「無礼を承知で参ってしまいました。外で聞くとも無しに聞いていたら、この茶番。教皇様をたぶらかすにも程がありますわ」
「たぶらかすなど」
「ならば、騎士への決意の程をお見せになられればよろしいでしょう。この竹光の剣をお取りなさい」
「タキューレス嬢」
「教皇様。神聖なる聖堂での座興をお許し下さいませ。あくまで装飾もなしの練習剣。それで私の太刀を交わして反撃して見せなさい。騎士と言うからには、一国の星の姫の素人剣などに勝るのは容易い筈」
姫君はひゅんと慣れた太刀捌きを見せてヴィエラに対峙します。
ブログへお立ち寄りの皆様へ
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他SNSへの投稿は継続しております。
ストーリーに引き続きご興味がございましたら、〔検索ワード【偽書】 〕などで検索頂けましたなら幸いです。
筆者敬白
「教皇様っ!」
「どうした、ヴィエラ?」
「古(いにしえ)、太古より、星々の諍(いさか)いの度に、四聖の加護を得し四人の皇女や女騎士が現れ戦乱を収め、新たなる歴史を紡いだと聞いております」
「古き伝承の後に脚色された逸話であろう。神事を司る儂が言うのもおかしな話だが、その方が臣民に説くのに都合のよいものに変化しておるのではないのかな」
「誠に申し上げ難いのですが、それは否」
「何と?」
「かつて、幽閉されておられた教皇様の先祖を救出したと言う辺境の星の娘…騎士とは名ばかりの元服にも満たぬ娘が挙兵し、多難の末に古龍の血を受けた竜騎士を倒し、見事時の教皇様を救い出したなるは真実」
「逸話をまるで見てきた如くによくもまあ…」
「ならば…」
ヴィエラはドレスに纏われた左の腕を晒して見せます。
「それはもしや…」
「誹の紋章に御座います」
「うら若き娘がそのような刺青など…」
「刺青ではございません」
「たいがいにしておくが良いぞ。儂をたばかる気か」
「たばかってなどおりませぬ。失礼」
ヴィエラは一歩進み、教皇への距離を詰めました。
「とくとご覧下さい」
「真(まこと)と申すのか?馬鹿馬鹿しい」
「私にはこれ以外他に騎士を願い出る証を持ちません」
ヴィエラが左腕を目線にまで持ち上げ教皇への方へ更に一歩歩みを進めた時でした。
「失礼ながら、面白い趣味をお持ちの様子ですわね」
謁見の場となる小聖堂の正面より、使いの従者を二人引き連れた女性が、教皇の下使いに導かれて入堂して来たのです。
「そなたは先程謁見を終えた…帝国皇家筋ヴュルドのタキューレス嬢」
「無礼を承知で参ってしまいました。外で聞くとも無しに聞いていたら、この茶番。教皇様をたぶらかすにも程がありますわ」
「たぶらかすなど」
「ならば、騎士への決意の程をお見せになられればよろしいでしょう。この竹光の剣をお取りなさい」
「タキューレス嬢」
「教皇様。神聖なる聖堂での座興をお許し下さいませ。あくまで装飾もなしの練習剣。それで私の太刀を交わして反撃して見せなさい。騎士と言うからには、一国の星の姫の素人剣などに勝るのは容易い筈」
姫君はひゅんと慣れた太刀捌きを見せてヴィエラに対峙します。
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筆者敬白