「こんな時、ポットやクインが居てくれたなら」
「呼んだ?生憎私達は蘇生師でもネクロマンサーでもないわよ」
嘆くエイミーの背中越しにポットとクインが声をかけた。
「間に合いませんでしたか…」
「あんた達、一緒だったのかい?」
「負界領域についてジュンに連絡していたら、クインも帝国の機動艦で近くへ行くから合流してくれって」
「当のジュンはどうした?」
ミトの問いにはクインが答える。
「イコルを伴い向かっているそうです。途中フィンからも連絡を受けて、合流してから、とか」
「やっぱり脱獄したのか」
エイミーが意を得たりという表情で言う。
「どうするのさ。メリーはここには居ないし、ルリはこのザマだ。いくら医療技法に長けたポットでも仏さんは無理だろ」
このザマですいません…ティガー。
「ジュンからの、正確にはジュンと連絡が取れたフィンからティガー、あんたに伝言よ。“窓”に口づけを忘れるな、だとさ」
「窓?…フィンから?もしかして…」
「フィンを担当していた監獄の刑務官からの伝言だそうよ」
「ギムル…か」
「古い知り合いですか?」
「ああ。年の離れた幼なじみみたいなものさ」
少しはにかむ様にティガーは下を向いて、再度顔を上げた。
「で、何なんだよ。窓って」
ミトが訝しんでティガーに聞く。
「“窓”は私の星の信仰の対象…みたいなものさ」
「何の窓なの?」
ポットが問い詰める。
「過去と未来、現世と来世、もうひとつの世界を繋ぐとされる窓の例えさ。いつも我々は幾つの時間や時代と繋がっている…ってみたいな意味だよ」
「それが何を?」
「ひとりの命には限りがある。でも、もし他人が自分のそれを分け与えられたなら」
「もしやそれは…いけません。ティガー。窓を開けては」
「意味が良く解らないよ」
「失った者へ自分の命のエネルギーみたいな物を代わりに分け与える…って事だろ」
ミトの言葉にエイミーが絶句する。
「ティガーの母星ではそんな事が可能なの?俄には信じられないんだけど」
ポットは怪訝そうにティガーに言った。
「気が付いたか?」
「…座敷牢?そうですか…あの祭壇で私はクロスを…」
「愚かな事をするでない。お前の妹は…クロスは望んであの儀式を受けておるのだぞ。それを姉のお前が邪魔をして何とする」
「儀式は?」
「お前さんの無茶のせいで中断された。どうする気だ。お前のせいでクロスは今や…」
「そうだ。クロスは?クロスは無事なんですか?」
ブログへお立ち寄りの皆様へ
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他SNSへの投稿は継続しております。
ストーリーに引き続きご興味がございましたら、〔検索ワード【偽書】 〕などで検索頂けましたなら幸いです。
筆者敬白
「呼んだ?生憎私達は蘇生師でもネクロマンサーでもないわよ」
嘆くエイミーの背中越しにポットとクインが声をかけた。
「間に合いませんでしたか…」
「あんた達、一緒だったのかい?」
「負界領域についてジュンに連絡していたら、クインも帝国の機動艦で近くへ行くから合流してくれって」
「当のジュンはどうした?」
ミトの問いにはクインが答える。
「イコルを伴い向かっているそうです。途中フィンからも連絡を受けて、合流してから、とか」
「やっぱり脱獄したのか」
エイミーが意を得たりという表情で言う。
「どうするのさ。メリーはここには居ないし、ルリはこのザマだ。いくら医療技法に長けたポットでも仏さんは無理だろ」
このザマですいません…ティガー。
「ジュンからの、正確にはジュンと連絡が取れたフィンからティガー、あんたに伝言よ。“窓”に口づけを忘れるな、だとさ」
「窓?…フィンから?もしかして…」
「フィンを担当していた監獄の刑務官からの伝言だそうよ」
「ギムル…か」
「古い知り合いですか?」
「ああ。年の離れた幼なじみみたいなものさ」
少しはにかむ様にティガーは下を向いて、再度顔を上げた。
「で、何なんだよ。窓って」
ミトが訝しんでティガーに聞く。
「“窓”は私の星の信仰の対象…みたいなものさ」
「何の窓なの?」
ポットが問い詰める。
「過去と未来、現世と来世、もうひとつの世界を繋ぐとされる窓の例えさ。いつも我々は幾つの時間や時代と繋がっている…ってみたいな意味だよ」
「それが何を?」
「ひとりの命には限りがある。でも、もし他人が自分のそれを分け与えられたなら」
「もしやそれは…いけません。ティガー。窓を開けては」
「意味が良く解らないよ」
「失った者へ自分の命のエネルギーみたいな物を代わりに分け与える…って事だろ」
ミトの言葉にエイミーが絶句する。
「ティガーの母星ではそんな事が可能なの?俄には信じられないんだけど」
ポットは怪訝そうにティガーに言った。
「気が付いたか?」
「…座敷牢?そうですか…あの祭壇で私はクロスを…」
「愚かな事をするでない。お前の妹は…クロスは望んであの儀式を受けておるのだぞ。それを姉のお前が邪魔をして何とする」
「儀式は?」
「お前さんの無茶のせいで中断された。どうする気だ。お前のせいでクロスは今や…」
「そうだ。クロスは?クロスは無事なんですか?」
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筆者敬白