くまだから人外日記

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黍(きび)色ミラージュ騎士団(四聖獣〜戦巫女の間のストーリー) 24 第2章招かれざる者 3

2020-05-18 12:05:33 | 【偽書】シリーズ
「それではクィーン。西の国境線へと出立致します」
クィーンにお目通りを願い、出発を告げるギルバートにクィーンはその労を労います。
「ギルバートよ、難事ご苦労である。私は無事西を静定し報告を待っておるぞ」
「かしこまりました。無事解決して参ります故、しばしお待ちを」
「ところでギルバート。今回の遠征にリンドバーグの姿が無い様だが」
クイーンはギルバートの配下の一人、リンドバーグの姿を探してそう言いました。クイーンは黍色騎士団の顔と名前が一致、つまりクイーン配下のいち騎士団に過ぎない彼等の事を存じていた様です。
「今回は新たに加えたこのステラの初陣として、リンドバーグは留守番を命じております」
ギルバートに促され、一歩前に進み出て、ステラは女王に名乗り出ました。
「初にお目にかかります、クィーン。私がステラ…」
「そうですか、貴女がステラ。女の身で大剣を振るうのは難儀でしょうが、騎士として出るからには相応の働きを期待しますよ、ステラ」
ステラの名乗りを遮る様にクイーンが言葉を発したのには理由があるのか、単に皇族特有の自己中心的なものから来るのかは定かではありませんが、それは現在ではあまり重要な事では無いでしょう。
ギルバートは大きく頷き回答します。
「かしこまりました。必ずや期待に応えて参ります」
「頼みましたよ」
小さく微笑むクイーンはいつものそれでありました。
「それでは我れら黍色ミラージュ騎士団、西の国境線の外敵を諫めて参ります」
騎士達は一斉にクィーンに捧げ剣を取り、一礼して扉へと向かいました。

その姿を見つめるクイーンは小さく呟きました。
「黍色を纏いし騎士に異色の騎士が加わるは残酷な事やも…それもあやつの命運か」
クイーンは初めてギルバートと対面した日を回想するかの様に。


「この人は誰?」
「この者はクイーンを守護すべく呼びよせたる者、歴史を動かす者を守護すべく帝国より招き入れたるダギリアのドルト・エンワ・ナンレートと申す騎士にてございます」
「わらわを守護じゃと」
「左様。我が太主クイーンを、です。モルザ姫様」
略装の騎士装束の若い男は一歩歩み出てそう申したそうです。
「ふうん。騎士か。ならばわらわに変わらぬ忠誠を誓え」
「いかようにして」
「決まっておろう。古来より従者はキスをするものであろう」
「忠誠の…ですね」
若い騎士は幼いモルザの前まで歩み寄り、片膝をついてモルザの右手を取り顔を近づけて軽く唇を手の甲に当てました。
「変わらぬ忠誠をお誓い致します。我が主人クイーンエルザ」




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筆者敬白

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