「一体何を企んでいるんだ」
「別に…」
「全く…」
取り調べ室で対面するいかにもやらかしそうな風体をした若者に、くたびれたスーツ姿の刑事は片方だけ眉をひそめる。
「刑事さん。腹減ったからカツ丼取ってくれよ」
「ふざけるな」
「大真面目だよ」
埒があかないと思ったかのか、刑事は頭を掻きながら内線電話をかける。
「嶋君は居るか?ああ、第二取調室代わってくれと伝えてくれないか」
受話器を置く刑事に勝ち誇った様に若者が言う。
「ギブアップ?」
「はぁ?」
「おっちゃん、ギブか?」
「言ってろ。今、嶋が来る」
「嶋?おおッ。スーパーボール男キターッ!」
若者は嬉々として嶋の渾名を叫ぶ。
「嬉しいか?」
「ご機嫌じゃん。粘った甲斐があった。で、カツ丼は?」
くたびれたネクタイを首もとで緩めながら刑事は言った。
「食い逃げされちゃあ困るからな。前金制だ」
「サキちゃん。この公演の権利移譲契約書ヤバいよ」
「サキちゃん言うな」
「なら、シャチョーサン」
「怪しいフィリピンパブの店主か!で、その契約書、そんなにヤバいか?」
「金はまぁ、これくらいは仕方が無いが、設備がね…」
「設備?会場のステージでも無くなってるのか?取り壊し目前だから」
「ステージはあるだろうけど、ある意味それよりヤバい」
「もったい付けずに教えろよ。契約のプロなんだろ」
いかにも堅い商売人が身につけるスーツの胸にバッジを光らせる身なりのいい男は、長髪の白いパンツスーツの男の問いにに答って言う。
「電源の供給条項が皆無だ。多分前日までに設備配線等は打ち切り撤去されてしまうんだろ」
「引き込んだ主電源もか?でも電力会社に供給を再開して貰えば…」
「受電機器も用意出きるのか?百ボルトの家庭用じゃないんだぜ。この手のホールは全て業務用電力だ」
「つまり?」
「空調や水の供給を含めて全館真っ暗だ。廊下やトイレに至るまで…な。これじゃギグなんて出来やしないぞ」
「確かにな。ん?だが待てよ?」
「おいおい。何を企んでる?サキちゃん」
「シャチョーサンだ!」
「別に…」
「全く…」
取り調べ室で対面するいかにもやらかしそうな風体をした若者に、くたびれたスーツ姿の刑事は片方だけ眉をひそめる。
「刑事さん。腹減ったからカツ丼取ってくれよ」
「ふざけるな」
「大真面目だよ」
埒があかないと思ったかのか、刑事は頭を掻きながら内線電話をかける。
「嶋君は居るか?ああ、第二取調室代わってくれと伝えてくれないか」
受話器を置く刑事に勝ち誇った様に若者が言う。
「ギブアップ?」
「はぁ?」
「おっちゃん、ギブか?」
「言ってろ。今、嶋が来る」
「嶋?おおッ。スーパーボール男キターッ!」
若者は嬉々として嶋の渾名を叫ぶ。
「嬉しいか?」
「ご機嫌じゃん。粘った甲斐があった。で、カツ丼は?」
くたびれたネクタイを首もとで緩めながら刑事は言った。
「食い逃げされちゃあ困るからな。前金制だ」
「サキちゃん。この公演の権利移譲契約書ヤバいよ」
「サキちゃん言うな」
「なら、シャチョーサン」
「怪しいフィリピンパブの店主か!で、その契約書、そんなにヤバいか?」
「金はまぁ、これくらいは仕方が無いが、設備がね…」
「設備?会場のステージでも無くなってるのか?取り壊し目前だから」
「ステージはあるだろうけど、ある意味それよりヤバい」
「もったい付けずに教えろよ。契約のプロなんだろ」
いかにも堅い商売人が身につけるスーツの胸にバッジを光らせる身なりのいい男は、長髪の白いパンツスーツの男の問いにに答って言う。
「電源の供給条項が皆無だ。多分前日までに設備配線等は打ち切り撤去されてしまうんだろ」
「引き込んだ主電源もか?でも電力会社に供給を再開して貰えば…」
「受電機器も用意出きるのか?百ボルトの家庭用じゃないんだぜ。この手のホールは全て業務用電力だ」
「つまり?」
「空調や水の供給を含めて全館真っ暗だ。廊下やトイレに至るまで…な。これじゃギグなんて出来やしないぞ」
「確かにな。ん?だが待てよ?」
「おいおい。何を企んでる?サキちゃん」
「シャチョーサンだ!」