「そっちは私はいいよ。どうせ昼間は寝ているんだから。それより何だか今見えた人影が気になるんだ。勿論二人は部屋で休んでいてもいいよ」
「そうか。昼間は月子は眠っているからね。でも大丈夫?この天候で停電中だし、ひとりでなんて危ないわよ」
早矢は取りあえず月子を引き止める。
「でも、ほら。きっとひとりじゃないよ」
同じ階から誰かが部屋を出て扉を閉める音がした。
部屋の扉を小さく開いて三人は隙間から縦に並んで廊下を眺める。
階段を下って行く小さな人影…。仲間内で姫の次に背の低い桃恵の姿が暗闇の中に見えた様に…。
「ズルいわ桃恵ちゃん。いくらお腹が空いたからって、灯りも持たずに厨房に夕食の残り物を探しに行くなんて。何で私も誘ってくれないのかしらね」
「えっ…そこ?」
「どこからどこをどう突っ込めばいいのか教えてよ。月子」
月子と早矢は姫の発想に呆れてみせる。
「仕方がない。なら、肝試しついでに姫の胃袋を満たせるものが無いか見て来るよ」
そう言い残して、桃恵の後を追いかける様に月子は扉を開けて静かに廊下に向かうと、音がしない様に古く重い扉をゆっくり閉める。
「行っちゃった…」
「でも、もう食べるものは無いかも。明日の朝食の食材ならあるだろうけど、それは失礼よね。来客が手をつけては」
変な所はちゃんとしてるのね、姫は。
「どちらにしても、亨留(みちる)に伝えとかなきゃ。月子が肝試しに出た事は。真っ暗になると困るから、姫も一緒に行こうか?」
「肝試し?食料探し?」
「わての話聞いてた?姫。亨留(みちる)の部屋に行くのよ」
残念そうな姫の手を引いて、早矢はランタンを手にして部屋を出る。
「それにしても見え見えだろ。桃恵の奴。いきなり“明日も早いんだからみんな寝よう”とか…」
ベッドから半身を起こして詩織が呆れてる。
「まあ、本当に寝静まってからこっそり出歩かれるよりましかな?」
亨留(みちる)も同じくベッドから起き上がり、一旦消したランタンに火をくべる。
そこへ、タイミングを計った様に扉をノックする音。
「誰かな?」
「私よ。早矢よ。姫も一緒に居るわ。入っていい?」
「鍵は開いてるよ。どうやら予想通りになったね、詩織」
「本当に」
ブログへお立ち寄りの皆様へ
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他SNSへの投稿は継続しております。
ストーリーに引き続きご興味がございましたら、〔検索ワード【偽書】 〕などで検索頂けましたなら幸いです。
筆者敬白
「そうか。昼間は月子は眠っているからね。でも大丈夫?この天候で停電中だし、ひとりでなんて危ないわよ」
早矢は取りあえず月子を引き止める。
「でも、ほら。きっとひとりじゃないよ」
同じ階から誰かが部屋を出て扉を閉める音がした。
部屋の扉を小さく開いて三人は隙間から縦に並んで廊下を眺める。
階段を下って行く小さな人影…。仲間内で姫の次に背の低い桃恵の姿が暗闇の中に見えた様に…。
「ズルいわ桃恵ちゃん。いくらお腹が空いたからって、灯りも持たずに厨房に夕食の残り物を探しに行くなんて。何で私も誘ってくれないのかしらね」
「えっ…そこ?」
「どこからどこをどう突っ込めばいいのか教えてよ。月子」
月子と早矢は姫の発想に呆れてみせる。
「仕方がない。なら、肝試しついでに姫の胃袋を満たせるものが無いか見て来るよ」
そう言い残して、桃恵の後を追いかける様に月子は扉を開けて静かに廊下に向かうと、音がしない様に古く重い扉をゆっくり閉める。
「行っちゃった…」
「でも、もう食べるものは無いかも。明日の朝食の食材ならあるだろうけど、それは失礼よね。来客が手をつけては」
変な所はちゃんとしてるのね、姫は。
「どちらにしても、亨留(みちる)に伝えとかなきゃ。月子が肝試しに出た事は。真っ暗になると困るから、姫も一緒に行こうか?」
「肝試し?食料探し?」
「わての話聞いてた?姫。亨留(みちる)の部屋に行くのよ」
残念そうな姫の手を引いて、早矢はランタンを手にして部屋を出る。
「それにしても見え見えだろ。桃恵の奴。いきなり“明日も早いんだからみんな寝よう”とか…」
ベッドから半身を起こして詩織が呆れてる。
「まあ、本当に寝静まってからこっそり出歩かれるよりましかな?」
亨留(みちる)も同じくベッドから起き上がり、一旦消したランタンに火をくべる。
そこへ、タイミングを計った様に扉をノックする音。
「誰かな?」
「私よ。早矢よ。姫も一緒に居るわ。入っていい?」
「鍵は開いてるよ。どうやら予想通りになったね、詩織」
「本当に」
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筆者敬白