東京から鎌倉への帰宅の途中、大船で寄り道をする。学校帰りの小学生の気分だ。ここの駅ビルに大好きな寿司屋がある。
立ち食いだが、プロが目の前で握る、それがカウンターで寿司を食う醍醐味だ。
ただし、オラは異常に緊張するたちで、注文の声がスパッと出ない。
「ウニを、お願いします」とようやく言う。即座に返事が来る「軍艦ですか、手巻きですか?」
オラは「手巻き」が食べたいのに「イージス艦」と言ってしまう。なぜ、本心と違うことを言ったり、やったりしてしまうのだ!
冗談のつもりだが、店全体が凍りついたような空気になる。「あれ、あの自衛隊の事故、その後どうなりましたかねー」
さりげなく、隠れて食べていたいのに、店中がオラに聞き耳をたてる。緊張の糸が切れた。
「いか下足」と書いてあったので、「イカ不足(ぶそく)、お願いします」と言ってしまう。オラはもう板さんから完全に見捨てられた存在に堕ちる。
「ホタテ、お願いします」、客は俺だ、何でお願いしなきゃならんのだ、なんて強がりながら、出る言葉はあくまで下手から。
「あれ、ホタテ、いま出したばかりですよ」と板さん。オラのボケはここまで来てしまったか!
あわててオラは取り繕う「いや、ですから、もう一つお願いします、ということですよ」
思えば、取り繕いと、お詫びと、お願いばかりの人生だった。
立ち食いだが、プロが目の前で握る、それがカウンターで寿司を食う醍醐味だ。
ただし、オラは異常に緊張するたちで、注文の声がスパッと出ない。
「ウニを、お願いします」とようやく言う。即座に返事が来る「軍艦ですか、手巻きですか?」
オラは「手巻き」が食べたいのに「イージス艦」と言ってしまう。なぜ、本心と違うことを言ったり、やったりしてしまうのだ!
冗談のつもりだが、店全体が凍りついたような空気になる。「あれ、あの自衛隊の事故、その後どうなりましたかねー」
さりげなく、隠れて食べていたいのに、店中がオラに聞き耳をたてる。緊張の糸が切れた。
「いか下足」と書いてあったので、「イカ不足(ぶそく)、お願いします」と言ってしまう。オラはもう板さんから完全に見捨てられた存在に堕ちる。
「ホタテ、お願いします」、客は俺だ、何でお願いしなきゃならんのだ、なんて強がりながら、出る言葉はあくまで下手から。
「あれ、ホタテ、いま出したばかりですよ」と板さん。オラのボケはここまで来てしまったか!
あわててオラは取り繕う「いや、ですから、もう一つお願いします、ということですよ」
思えば、取り繕いと、お詫びと、お願いばかりの人生だった。