Naked Heart

その時々の関心事をざっくばらんに語ります

最高裁の存在意義

2006年06月24日 00時01分24秒 | 時事・社会
最高裁、憲法判断せず 小泉首相靖国参拝訴訟 (共同通信)

 小泉純一郎首相の靖国神社参拝は政教分離を定めた憲法に違反し、
精神的苦痛を受けたとして、日韓の戦没者遺族ら278人が国と小泉首相
らに損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が23日、最高裁第2小法廷で
あった。
 今井功裁判長は「参拝で原告らの法的利益が侵害されたとはいえな
い」として原告の上告を棄却した。原告敗訴の2審大阪高裁判決が確定
した。参拝の公私の別や憲法判断はしなかった。
 歴代首相の靖国参拝をめぐる訴訟で最高裁判決は初めて。損害賠償
請求の前提となる「被害」が否定され、同様の訴訟で今後、地・高裁が
憲法判断に踏み込まない傾向が強まりそうだ。


信教の自由を巡っては、「目的効果基準」を打ち出した津地鎮祭訴訟や
自衛官合祀拒否訴訟、箕面忠魂費訴訟では合憲、愛媛玉串料訴訟で
は違憲と、これまで最高裁は憲法判断を回避してきませんでしたので、
今回どのような判断を下すか注目していたのですが、見事に逃げました。
先日も、光市の母子殺害事件の上告審で、高裁差し戻しを決定しました
が、通常差し戻し審で最初の時と同じ判決が出ることは無く、事実上の
死刑判決と受け止められています。それなら何故、最高裁自身が死刑
判決を出さなかったのでしょう。私は死刑制度には基本的に反対の立場
ですので、この事件に関しては近いうちに稿を改めて論じたいと思います
が、立場の違いは措くとしても、自衛隊や日米安保を巡る「統治行為論」
や、戦争責任など「過去の清算」での時効判断、そして原告の適格性を
理由にした「門前払い」など、最高裁が自らの役割を放棄したかのような
判決が相次ぐことには、強い憤りを覚えます。三権分立なんてのは絵に
描いた餅かも知れませんが、下級裁判所の模範となるような判決を出せ
ない「三番目の裁判所」に過ぎないなら、「最高」裁判所とは言えません。
無責任・モラルハザードがはびこる今日、それを糺すべき最高裁までが
責任回避に走るなら、もはや存在意義は無いと言っていいでしょう。