最高裁、憲法判断せず 小泉首相靖国参拝訴訟 (共同通信)
小泉純一郎首相の靖国神社参拝は政教分離を定めた憲法に違反し、
精神的苦痛を受けたとして、日韓の戦没者遺族ら278人が国と小泉首相
らに損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が23日、最高裁第2小法廷で
あった。
今井功裁判長は「参拝で原告らの法的利益が侵害されたとはいえな
い」として原告の上告を棄却した。原告敗訴の2審大阪高裁判決が確定
した。参拝の公私の別や憲法判断はしなかった。
歴代首相の靖国参拝をめぐる訴訟で最高裁判決は初めて。損害賠償
請求の前提となる「被害」が否定され、同様の訴訟で今後、地・高裁が
憲法判断に踏み込まない傾向が強まりそうだ。
信教の自由を巡っては、「目的効果基準」を打ち出した津地鎮祭訴訟や
自衛官合祀拒否訴訟、箕面忠魂費訴訟では合憲、愛媛玉串料訴訟で
は違憲と、これまで最高裁は憲法判断を回避してきませんでしたので、
今回どのような判断を下すか注目していたのですが、見事に逃げました。
先日も、光市の母子殺害事件の上告審で、高裁差し戻しを決定しました
が、通常差し戻し審で最初の時と同じ判決が出ることは無く、事実上の
死刑判決と受け止められています。それなら何故、最高裁自身が死刑
判決を出さなかったのでしょう。私は死刑制度には基本的に反対の立場
ですので、この事件に関しては近いうちに稿を改めて論じたいと思います
が、立場の違いは措くとしても、自衛隊や日米安保を巡る「統治行為論」
や、戦争責任など「過去の清算」での時効判断、そして原告の適格性を
理由にした「門前払い」など、最高裁が自らの役割を放棄したかのような
判決が相次ぐことには、強い憤りを覚えます。三権分立なんてのは絵に
描いた餅かも知れませんが、下級裁判所の模範となるような判決を出せ
ない「三番目の裁判所」に過ぎないなら、「最高」裁判所とは言えません。
無責任・モラルハザードがはびこる今日、それを糺すべき最高裁までが
責任回避に走るなら、もはや存在意義は無いと言っていいでしょう。
小泉純一郎首相の靖国神社参拝は政教分離を定めた憲法に違反し、
精神的苦痛を受けたとして、日韓の戦没者遺族ら278人が国と小泉首相
らに損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が23日、最高裁第2小法廷で
あった。
今井功裁判長は「参拝で原告らの法的利益が侵害されたとはいえな
い」として原告の上告を棄却した。原告敗訴の2審大阪高裁判決が確定
した。参拝の公私の別や憲法判断はしなかった。
歴代首相の靖国参拝をめぐる訴訟で最高裁判決は初めて。損害賠償
請求の前提となる「被害」が否定され、同様の訴訟で今後、地・高裁が
憲法判断に踏み込まない傾向が強まりそうだ。
信教の自由を巡っては、「目的効果基準」を打ち出した津地鎮祭訴訟や
自衛官合祀拒否訴訟、箕面忠魂費訴訟では合憲、愛媛玉串料訴訟で
は違憲と、これまで最高裁は憲法判断を回避してきませんでしたので、
今回どのような判断を下すか注目していたのですが、見事に逃げました。
先日も、光市の母子殺害事件の上告審で、高裁差し戻しを決定しました
が、通常差し戻し審で最初の時と同じ判決が出ることは無く、事実上の
死刑判決と受け止められています。それなら何故、最高裁自身が死刑
判決を出さなかったのでしょう。私は死刑制度には基本的に反対の立場
ですので、この事件に関しては近いうちに稿を改めて論じたいと思います
が、立場の違いは措くとしても、自衛隊や日米安保を巡る「統治行為論」
や、戦争責任など「過去の清算」での時効判断、そして原告の適格性を
理由にした「門前払い」など、最高裁が自らの役割を放棄したかのような
判決が相次ぐことには、強い憤りを覚えます。三権分立なんてのは絵に
描いた餅かも知れませんが、下級裁判所の模範となるような判決を出せ
ない「三番目の裁判所」に過ぎないなら、「最高」裁判所とは言えません。
無責任・モラルハザードがはびこる今日、それを糺すべき最高裁までが
責任回避に走るなら、もはや存在意義は無いと言っていいでしょう。