厚生労働省の記者クラブでの会見で、全生連の前田美津恵事務局次長は、「1949年に母子加算(ひとり親家庭に支給)ができて60年目の今年、困難な実態や声も聞かず、厚労省は母子加算を廃止。その理由に『低所得母子世帯の水準と比べ、生活保護の方が高い』というが、貧困な状態にある母子家庭の底上げをすることが求められている。また、ひとり親世帯就労促進費(一時扶助で月1万円または5000円)を07年から創設しているというが、母子世帯の84%は就労しており、母子加算廃止の口実にしかすぎない」と批判しました。
民主党の「ニュース」報道から
同法案は、生活保護を受けているひとり親世帯に支給されていた母子加算(月2万3000円程度、父子家庭にも支給)が今年4月から全廃され、約10万世帯、約18万人の子どもたちが、生活費を切り詰めている家庭で食べたいものも食べられず、高校進学や修学旅行を断念するなど、深刻な影響が出ている状況をふまえ、復活を求めるもの。民主党は『民主党政策INDEX2008』において「母子加算の廃止に反対し、ひとり親家庭の子が安心して暮らせるよう、必要な給付額を支給します」と規定し、当初から母子加算廃止に反対し、その復活を主張してきた。
母子加算の減額が始まる前の2004年度以前の支給額を今年10月から再び支給すると定め、必要な年間経費を約180億円と見積もっている。
会見で長妻議員は、「与党の国会議員もこれは復活させなければいけないといった趣旨の発言を繰り返しているが動きがない」ため、野党側からの働きかけということで法案提出に至ったと語った。
母子加算が廃止に至った経緯について長妻議員は、「平成15年8月に専門委員会委員12名で議論があり、厚生労働省によると平成16年12月に『母子加算は廃止するという結論が出た』というが、委員のなかには『そういう結論が出たと認識していない』と発言する方もいる」と指摘した。
同時に、小泉内閣のもとで示された骨太方針において「社会保障の伸びを年間2200億円抑制する」とされており、平成19年度予算では2200億円の歳出削減の内訳のなかに母子加算の見直しによる63億円削減が計画されており、平成20年度予算の2200億円の歳出削減のなかにも母子加算の見直しによる53億円削減が示されている点を長妻議員は提示。「結局は母子加算の廃止は小泉改革の流れの延長線上のなかで起きてきたことで、与党も野党も小泉政権の施策の見直しの機運があるにもかかわらず未だに尾を引いているものだ」と断じ、母子加算復活の必要性を改めて強調した。
さらには、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とする憲法25条上も問題であるとも指摘。母子加算の廃止は国家が国民に対して保障する最低限の生活水準であるナショナル・ミニマムを引き下げるという国家判断といえるとした長妻議員は、「説得性のないまま、最も重要な、ナショナル・ミニマムの水準を下げるという国家の判断がなされたことは看過できない」と述べた。
国会会期が延長されるなか「審議日数がないとは言わせない」との指摘もあり、自民・公明の与党に対して、ひとり親家庭の子どもたちの窮状を救うためにも、早急に審議に応じるよう強く求めていく考えも示された。
母子加算復活法案(法案)
母子加算復活法案(要綱)
(以上)