京都社会保障推進協議会ブログ

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京都府内 公立病院の動向(13)―京都市立病院の経営形態とPFI―その1

2008年11月17日 00時00分00秒 | 資料&情報
 今回から京都市立病院(及び市立京北病院)の経営形態問題と市立病院運営事業について資料提供をおこないます。


 数回の連載を予定していますが、まず最初に、10月30日開催されただい6回京都市医療施設審議会の資料を紹介します。


 医療施設審議会は府立医科大学名誉教授佐野豊氏を会長に以下のメンバーで構成されています。(敬称略)
 京都大学大学院教授 今中雄一
 京都府看護協会会長 我部山キヨ子
 公認会計士     小長谷敦子
 京都第二赤十字病院名誉院長 澤田 淳
 京都大学医学部附属病院長 中村孝志
 京都府医師会長   森 洋一
 京都府立医科大学長 山岸久一
 同志社大学大学院教授 山谷清志
 京都市保健福祉局医務監・保健衛生推進室長 松井祏佐公
また、京都市から細見副市長、浅野保健福祉局長、向原市立病院長、上床京北病院長が参加しています。


 9月には「京都市立京北病院の今後のあり方」について答申を行いました。

 答申についてはここを参照


 「京都市病院事業に係る今後の経営形態のありかたについて」答申(素案)


 第6回医療施設審議会では、「京都市病院事業に係る今後の経営形態のありかたについて」答申(素案)が提案され、活発な論議が行われました。

 答申(素案)の内容(結論部分)を紹介します。

 
 最終的な経営形態

(1)4で述べた比較・評価を踏まえると、以下に示すように、病院経営に関する権限と責任をより明確にし、機敏で柔軟な運営をタイムリーに行っていくうえでの課題を解決するために最も適した経営形態は、「地方独立行政法人化(非公務員型)」であると考える。
 *「4で述べた」とは、「地方公営企業法の一部適用」「地方公営企業法の全部適用」「地方独立行政法人化(非公務員型)」の3案の比較・評価のこと

①地方独立行政法人においては、法人の理事長が中期目標及び中期計画に従って業務を執行していく仕組となっており、内部組織、給与その他の労働条件(より適切な給与体系や女性医師等が働き続けられる柔軟な勤務時間の設定等)、職員の人事等を独自に決定し、予算管理面においても、自らの権限の下で弾力的な運営を行うことができるなど、経営環境の変化にも迅速に対応することが可能である。

②長が、中期目標を定め、法人の中期目標を認可(議会の議決を要する。)することとされており、事後チェックの仕組も含め、制度上、中期的に政策医療をはじめとする必要な医療の提供を担保することができる。

③病院経営の財源については、地方公営企業として運営する場合の企業債に相当する長期借入金、一般会計繰越金に相当する運営費交付金が手当てされる仕組となっており、制度上、地方公営企業としての運営とほぼ同様の財源措置を得ることができる。

④これらを総合すると、病院や医療を取り巻く環境の変化の中で、市民のニーズに対応した政策医療を安定的かつ継続的に提供するとともに、中長期的な計画性と機敏で柔軟な判断による経営を行っていくためには、制度的に計画性が担保され、かつ地方自治法、地方公務員法等の制約がない「地方独立行政法人化(非公務員型)」が、今後の京都市立病院事業に適しているといえる。

⑤また、京都市立京北病院における医師不足などの課題を京都市立病院と連携して解消していくに当たって、中間答申で述べたことに加えて、理事長の判断により柔軟な方策を採ることが可能となることも、この経営形態のメリットとして挙げることができる。

(2)ただし、この経営形態への移行のみをもって、現在の経営形態である「地方公営企業法の一部適用」の下でのすべての課題を直ちに解決できるわけではないので、移行後の経営形態での課題解決への展望等も踏まえたうえ、「地方独立行政法人化(非公務員型)」のメリットを十分に生かすようにされたい。

(3)なお、今後、「京都市立病院整備運営事業」をPFI事業として実施することについては、同事業による特定目的会社への委託は、施設管理及び医療周辺事務に限られるため、指定管理者制度と異なり、この経営形態との齟齬は来たさない。

(以上、素案より「最終的な経営形態」の章を抜粋)



 上記の素案に対して、審議会では素案に沿った意見とともに、「実際には運営費交付金が年々減少している。独法化で全てうまく行くものではない」等の意見も出され、各委員の意見を踏まえながら、次回に答申案をまとめるとしています。



 一方、市立病院整備運営事業は、8月の事業者説明会以降、「京都市立病院整備運営事業提案審査委員会」の設置、業者からの質問に対する「京都市立病院整備運営事業実施方針等に関する質問及び回答について」、「京都市立病院整備運営事業業務要求水準書(案)に対する意見等の募集及び実施方針の変更について」が相次いで公表されています。


 地方独立行政法人化及びPFI事業について、事態の進展と平行して資料提供を行っていきます。

(次回につづく)