会社に農林漁業金融公庫からの冊子が届き時間があったので少し読んだ
特集は消費者動向調査で、”食品の購入、決め手は「鮮度」と「安全」”と銘打って見開き2ページに渡り報告がなされている。
例えば、お米を購入する際の判断基準は”安全性への信頼”が1位で58.4% 以下”味” ”価格” ”周囲の評判” ”ラベル・ネーミング” ”広告・PRやキャンペーン”と続いている
他にも野菜、キノコ、果物、牛肉 etc・・・ 11品目についての結果が発表されている。
私はこの手のアンケートは余り当てにしていない。
なぜなら、アンケートの場面が説明されていないからだ。
このアンケートがどの様な場面で、どの様にして調査したかは相当重要である。
ありえないと思うが、スーパーの店頭で購入者に直接”今、どうしてそのお米を買ったのですか??”と聞いて調査されたならばそれなりに信頼される結果になるかも知れないが、消費者調査と銘打っていても、実際は一般家庭にアンケート用紙を送りつけたり、プレゼントか何かをつけて任意に解答を募ったものばかりが実際だ。
以前、調査のアルバイトをしている子に聞いたが、調査が面倒だから必然的に答えてもらい易い人に限定されてしまうというのだ。調査内容が細かくなるほどにその傾向になると思われる。
これは先日某大手新聞社の偉いさんの講演会で聞いたのだが、例えば政党支持率等の調査でも、調査先によって結構結果が違ってくるそうだ。例えば朝日新聞社が行う政治関連のアンケートと、産経新聞社が行うアンケートは微妙に結果が違うのだそうだ。
なぜなら、朝日新聞ですが・・・・と言われてアンケートに答える方は、基本的思想が朝日新聞に相反しない方になり(逆に日頃から朝日新聞社の思想に反発されている人は”朝日新聞社ですが・・・・”のアンケートには答えない事が多いらしい。(その人はNHKの世論調査が一番思想に偏りが無いだろうと話していた)
”食の安全に関するアンケートですが”と聞いてアンケートを取れば、答える方は構えると言う事だ。又、質問の取り方によっても大きく違う。”○?食品ですが、このカレーは美味しいですか”と聞くのと”このカレーを買いますか?”と聞くのでは全然答え方が変るはずで、有機野菜は体に良いと思いますか?なんて当たり前の事を聞けば殆どの方がハイと答えるのを見て、有機野菜は消費者に受けると判断するのは危険だと言うのと同じである。
一番大切な質問方法、設問例、回答者情報が何も明記されていないアンケート結果なんてあり得ないと思うのだ。
本題に戻るが、どうも、アンケート結果を見れば、回答は自由回答ではなく選択だったようで、どの項目も同じ回答しか載っていない。
”安全性への信頼””味””鮮度””価格””生産履歴””周囲の評判””ラベル・ネーミング””広告・PRやキャンペーン”
この項目の中から選びなさいとなると、概ね答えは決まっているように思える。
聞き方にもよるが、実際に店頭でお客さんに”何故その商品を買ったのか?”と聞けば、多分”価格”はもっと上位に来ると思うのだ。又、PRやキャンペーンは最下位になっているが、だからと言ってキャンペーンが悪いわけではない。キャンペーンは無意味だとこのアンケートで考える人が居たらそれは危険だ。なぜならキャンペーンをしている場所で同じアンケートを取れば購買理由でキャンペーンは上位に来るはずだからだ。
スーパーの店頭に並んでいるお米は基本的に消費者から信頼されている。と、いうか、例えば大手のヨーカ堂で売られているコメを安全性の面で疑っている消費者は殆ど居ないと思う。この様に書くと失礼かも知れないが、逆にディスカウンターと呼ばれている安売り店に並ぶコメは安ければ安いほど”訳あり??”と思うかもしれない。
それは、ヨーカ堂とディスカウンターの差であって、ヨーカ堂の日頃の安全への取り組みがひとつの価値になっている証拠だろう。
ヨーカ堂の店頭では殆どのお客様にとって安全性は先ずクリア出来ている訳だから、お客様の選択は ブランドと価格と量目になるだろう。いくら安いコメがあっても美味しくなければ売れないだろうし、美味しくても高すぎれば売れない。当たり前の話だ。
コメは購買頻度が余り高くないので(月に1~2回程度)複数店舗のチラシなどでじっくりと選別される事はあり得るが、例えばA・B2店舗のスーパーで1本30円のキュウリと、28円のキュウリを比べて安いほうにそれだけを買いにわざわざ走る人は殆ど居ないだろう。
もしも店内に1本30円の地場産地のキュウリと4本100円の他府県産地のキュウリがあったら、お客様の意見は分かれる。その時の購買理由を問うアンケートなら知りたいが、条件すら書かれて居ないアンケートなんて読むだけ無駄かも知れない。
そもそも最近のスーパーでは情報化が進み、お客様の購買動向はPOS(販売時点情報管理)データで得る事が出来るので、最近では店頭アンケートも随分減ったのが現状である。
単純な販売情報だけでなく、最近は顧客カード(ポイントカード)による顧客情報も得られるので、最近の量販店が持っているデータは どの地域のどういう家族構成のお客様がどういう商品を買う傾向にあるか・・・
なんて分析が出来るようになっている。そしてその情報を販売している会社もあるので、買ったことは無いけれどPOSデータは買うことが出来る。
つまり、先の消費者動向調査は意味があるのか無いのかに行き着くが・・・
無駄なコスト(アンケートは結構費用がかかる)をかけて、不正確な情報を得る意味が理解できない。
ひとつ理由があるとすれば”自分達に有利な情報を開示する”という使い方はあるかもしれない。
政党支持率等もそうかも知れないが、聞き方、聞く場所等でアンケートの結果はある程度誘導できる。自分達に都合の良い結果になる様に誘導したアンケートを行い、結果を公表すれば良いわけだ。
農林漁業金融公庫は何故このアンケートを行ったのか
その真意の方が知りたくなってしまった・・・・