父親的生活

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独占禁止法

2007-05-18 16:36:43 | 出産・育児

ちょっと真面目な話。

日本の食品自給率を上げなければならないと叫ばれて久しい。が、輸入農産物にかかる関税は撤廃される傾向にあり(日豪交渉など)、更に安い輸入農産物が今後もどんどん日本に入ってくるだろう。勿論自給率は更に下がるかもしれない。

と、言う事で、政府はどうも、高コスト体質の日本の農業を改革して、海外農産物と競争できる様にと考えているらしい。企業の自由な農業参入等がこれで、居酒屋の和民なんて、既に自社農場を沢山運営している。

日本の農業が高コストである原因のひとつは”古い体質”だと指摘されてきた。そりゃ、農業従事者は殆どが60歳以上の方だし、田舎ばかりだから(当たり前か)革新的な事は余り進まないのは良く判る。でも、もうひとつ”農協”という特異な組織が農業の活性化や若返りを阻害しているという側面もあったのだと思う。

例えば、農業資材。以前うちの会社で柑橘を栽培する際に使う資材を生産者の方に販売していた。で、ある時も農家さんから依頼され、仕入れようとメーカーに電話したら「農協以外のところに販売すると、農協が買ってくれなくなるので今年から御社には販売できません」と言われた事があった。こんなのは氷山の一角で、同じ様な事は沢山ある。農家さんの出荷だって同じ。みかんを農協に出荷している農家さんが、ある時我が社に出荷したいと言って来た。ところが夜遅くに持って来ると言うので理由を聞くと「農協以外に出荷しているのが見つかったら、もう農協には出荷できなくなる」と。だからいくら高く売れる売り先があっても、農家さんは指をくわえて見ていたなんて事も多くあった。

それに、農家さんは出荷した代金を当然農協にある自分の口座に振り込んでもらう訳だが、無理やり資材やジュースを買わされて代金は一方的に口座から引き落とされているなんて事も多い。

”それっておかしくないの?”と誰もが思っているのだが、田舎における農協の存在は絶大でよっぽどの人で無い限りそんな事を口にしない。自殺行為だった。そして当の農協もその事実にあぐらをかいていた部分は否めない。”本当に組合員の事を考えてるの?”と小首をかしげたくなるような発言や行為が無かったとは言えない。

ところが、4月18日に公正取引委員会からこの農協の活動に関する指針が発表された

http://www.jftc.go.jp/pressrelease/07.april/07041804.pdf

上に書いた様な行為は独占禁止法に触れる可能性があると言う事らしい。

確かに農協は農村には無くてはならない存在だ。生産指導は親切だし、少しの農産物でも販売してくれるし、遠くの市場に送ってくれたりもする。それに何より二束三文の農地を担保に農業資金の貸し出しもしてくれる。そして北海道や鹿児島で取引しているJAの皆さんなんて本当に一生懸命で真剣だ。ただ、地方農協や農協の中でも担当者によっては必ずしもそうではないところもあるだろうし、行き過ぎた農協の行為は取り締まられるべきで、今回の公正取引委員会の指針発表は正しい流れだと思う。そもそも真面目にやっている農協は指針が発表されてもびくりともしないと思う。指針に怯えていたのは不真面目な証拠なのだろう。

ただ、これをきっかけに農村が一変するとは思えないし、農業コストが目に見えて下がったり、生産者の生活が一気に楽になる事は無いと思う。しかし、自由競争がコスト削減の近道だという方針で国が動いている以上、農協や生産者が関係する各取引にも自由競争を促す流れは自然だし、将来に展望が開ける様に思う。

心配なのは農業者の多くが高齢者だと言う事。急な改革や変化にはちょっとアジャストし辛いのではないだろうか。そして、それらの方々が切り捨てられるのも困る。急ぎすぎてそうならない事を祈るばかりである。