「ま」さんは GAPのブリーフに出会ってから
すっかりブリーフのとりこになった。
ズボンの中でゴワつかなくて ぴったりフィットする感覚が良いらしい。
でも、ここのところGAPではブリーフを売ってない。
店員さんに聞いても「取り扱いが無い」の一点張りだ。
無いものは仕方がないが
やっぱりブリーフがいい。
綿100%で 大事なトコがゆったりしているやつ。
色が赤なら申し分ない。
まずは
男性下着のネット販売を試してみた。
個性的なデザインが勢揃いのサイトで購入した、複数のブランドのブリーフ達は
股上が浅いのは良いが ちょっと押さえつけられる気がするらしい。
しかも 結構なお値段だった。
その中の何枚かは洗濯を重ねるにつけ 見るも無残によぼよぼになっていった。
老化の早さは天下一品だった。
それから
私達は理想のブリーフを求めて 都内の下着売り場をさまようことになった。
百貨店は基本的にプライスが高い。ブランド物が主流だからだと思う。
ブリーフのバラエティはやはり少ない。
ボクサーブリーフならたくさんあるけど それは「ま」さんの求めるものとは違う。
少ない中から 綿100%のものを選び 形状を確認する。
ふくらみが いかにも足りない。
GAPのを見慣れている私達には 子供用にしか見えない。
どんなにカッコ良くても 着心地が悪いものは お気に入りにはなり辛い。
それでも何枚かは試してみたが やっぱり 何かが違うらしい。
洗濯の時に見比べてみても やっぱり ぜんぜん違う。
私が行きついた結論は
「ブリーフは その形状によって 自ら ファンを減らしている」ということだ。
つか、
おさえつけるだけのブリーフは 女の私が考えたって 不快だ。
形あるものが自然に納まるスペースを確実に確保しつつ
お尻と腰回りは的確にフィットさせ
上からでも窓からでも 使用の際は速やかに取り出せる構造にしなければならない。
とにかく 前中心のカッティングが肝だ。
その点、GAPのブリーフは優秀であるが
足の付け根にあたる部分に じつは若干の問題がある。
伸びやすいのだ。
ポロリとはみ出すこともあるらしい。
なんか 自分で作った方が早い気がしてきた。
月曜日の朝、「ま」さんは準備万端整えて 玄関に立った。
これから海外出張!やる気満々な凛々しい姿に見惚れていた私は
彼のジャケットの裾が<ふしぎなこと>になっているのに気がついた。
アバンギャルドなブランドのジャケットなので 今まで気づかなかったが 裾にもおしゃれなディティールが盛り込んであったのね…って
半ば納得しかけて でも これって かなり前から着てたやつで 今更改めてそれを知るってありえるかしらん?
・・・と キツネにつままれた気持でその部分を触った。
キレイにギャザーが寄っている。
『ああっ!!なんじゃこりゃぁ!!!』
「ま」さんの叫び声で 何かが起きてると認識した。
よくよく見ると 革のジャケットの前裾の一部が
カチコチにちぢこまって そのせいでギャザーが寄っているのであった。
もちろんこないだまでは 大変なめらかな平面だった。
「ま」さんは 激しく動揺した。
『あのお好み焼屋だ!』
解説*年末に行った不味いお好み焼屋の机の下のバーナーかなんかの熱でこんなんなっちゃったに決まってる!、それしか考えられない!!の意。
追記*ビニールじゃあるまいし 熱ではこうはなんないだろ、と私はちょっとだけ言いたくなったが我慢した。
『持ってないっ!!!!』
解説*スーツならあるが 買ったばっかりのかっちょええジョセフのパンツに合わせるようなイカした黒いテーラージャケットは持ってないっ!!、の意。
追記*ユニクロの茶色いのはテーラーカラーだったよなぁ・・ それではいかにもパンツとバランスが取れない。綿100%だったし・・・
つか、ブルゾン型のイカした黒革のじゃダメなのか?
いや、ポケットがいっぱいついてるここ一番の黒いスタンドカラージャケットの方が比較すればビジネスライクか?
ちょっと待って、黒革のピーコートだったらどうなの?
…と 私はめくるめくスピードで考察していた。
『このエリじゃないとダメなんじゃ!』
解説*こんな状態では着て行けないが テーラーカラーのジャケットでなければビジネスに支障をきたす、の意。
追記*限定された選択肢ではそれは不可能だ・・・と言いたかったが言っても問題は解決しない。
で、
結局 「ま」さんはポケットがいっぱいついてるここ一番のスタンドカラージャケットを着て旅立った。
それはそれで なかなか素敵ないでたちであった。
残された私は 原因を考えた。
とりあえず まずは現場だ。
収納されてた場所を確認すると 水がこぼれていた。
そばには<水とりぞうさん>ではないが それと同じ方式の除湿容器が転倒していた。
近所の薬局の特売で3個148円で買ってきたやつだ。去年の冬に。
設置して そのままだった。
だらしない妻で申し訳ない。
成分は<塩化カルシウム>って書いてある。
いかにも怪しい。
とりあえず ネットで調べると 犯人はこいつに間違いなかった。
「ま」さんにメールすると
『水とりぞうさん追放!』と返事がきた。
水とりぞうさんの類似品なんだけどなぁ、と オカモトさんに申し訳ない気持ちになった。
次にもしも同じようなやつを買うことがあったら
絶対にその特売品じゃなくて 水とりぞうさんにしようと思った。
水とりぞうさんなら 転倒しても水漏れしないんじゃないかな? たぶん。
で、
その後 縮んじゃった部分の復元または除去&再生方法を考えている。
「ま」さんの一張羅なので 何とかしたい。
進展があれば ここで報告します。