粒マスタードで旨味up (写ってないけどw)
じゃかいもはインカの何ちゃら
大雪の日、私たちは自宅にこもっていたのだが、
「ま」さんはココロの底に眠っていた少年が目を覚ましたらしい。
『大福が食べたい!』を口実に
吹雪の中に出掛けたいと言い出した。
ふだんなら もしかしたら 私も乗っかってたかもしれないが
「ま」さんがインフルエンザとぎっくり背中で苦しんでた直後だけに ためらいがあった。
なんでかはよくわかんないけど そういうのって 続くじゃん。
吹雪かれて 冷えて 大風邪ひいた、とか
つるんと滑って 骨折った、とか
滑ってきた車に轢かれた、とか
そんなんは やっぱり嫌だ。
自分がなるのも なった夫を心配するのも できれば避けたい。
ただ、正面切ってそう訴えても 夫が納得しないことは判っていた。
そんなことを言われたら 『それでも行きたいんや!大雪が待ってるんだ!』という気持ちになるのに違いない。
私が取れる作戦は ただ一つ。
「寒いから、やだ。」
寒さを憎む通常の姿勢を貫いた。
「ま」さんは 1時間おきぐらいに窓の外を見て
『ひゃっほ~~~!!すごいよ~~まっしろだよ~~』とはしゃいでみせる。
『大福が食べたいな~~~』と 表向きの理由づけも欠かさない。
何を言われようが 鋼鉄の意思で 私は 渋り勝った。
でも、今は やっぱ あんとき 冒険に出掛けるのも楽しかったかもなぁ・・・・と ちょっと思ったりもしてます。
金曜日、
『今夜は行事があって ひょっとしたら朝帰りかも知れへん』と言って出掛けた「ま」さんが
夜 たいして深くもない時間に帰宅した。
ものすごく具合が悪そうで 熱を計ったら37.8度だった。
具合が悪いくせに いつもの習慣からかTVを見たがる夫を
少しでも早く布団に入れるために
普段は全く使用しない寝室のTV(昔使ってたやつ)の電源を入れた。
「寝ながら見たら良いでしょ!」とかなんとか 聞き分けのない子供を騙すような手段を用いた。
しぶしぶ夫は布団にもぐりこんだものの 眠りは浅いようで苦しげに 呻き続けている。
しかも だんだん悪化して 呻き声はやがて とっても具合が悪い人のそれになった。
うわごとで『おかあちゃん・・・・』と来たときには 数年前の扁桃腺を切った手術直後を思い出した。
熱にうなされ 汗をだらだらと流し 亡き母親に救済を求める中年男の姿に 私は親子関係の本質を見た。
そんなんで ひたすらにヘロヘロなのにもかかわらず 「ま」さんは『TVを消さないでくれ』と訴える。
<朝まで生TV >は 都知事選立候補者のインタビューを流し続けていた。
(お陰様で 私は誰に投票するべきか 目星をつけることができた)
窓の外が明るくなった頃 私の体力も尽き いつの間にか眠ってしまった。
起きたら11時近くで 「ま」さんの熱は38度になっていた。
下がって38度になったのか ずっと38度なのかはわからないが
とにかく病院に連れて行ったら インフルエンザA型と診断され タミフルを賜った。
『これが噂に聞くタミフルか・・・・!』と 妙なところで興奮する夫。
『わしは流行に敏感じゃからのぅ・・・』と ご満悦。
そのまま月曜夜まで静養し だいぶ良くなったところで火曜日には出かけて行った。
タミフルは発症後48時間以内だと とっても良く効くらしい(真偽は未確認)。
で、
火曜日の夜、
自宅で夕飯を作っていた私は 『ぎっくり背中になって動かれへん・・・』という電話に驚かされた。
しばらくして タクシーで帰宅した夫は 自分ではコートも脱げない有様だった。
ものすごく 後ろ腰の右側が痛むらしい。
箸の上げ下ろしすら苦痛で 食事も途中で止めてしまった。
布団に入ってからも 金曜の夜以上に苦しみを訴える。
『いたたたたたたたた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
『いたたたたたたたたたたたたたた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・いたたたた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・たたたたたたたたたた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
ものすごく 痛がる。
ぎっくり背中は初めてじゃないけど こんなに辛そうなのは初めてだ。
不安になった私はネット検索した。そこらへんにあるのは肝臓らしい。
思い当たる節が無い訳でもない。
そして 夫はインフルエンザA型で 劇的に効果がある薬を飲んでいる。効果が高い薬にはそれなりのリスクもあるのかもしれない。
涙も流さんばかりに激痛にもがく家族を前に とりあえず様子を見る・・・と 腹を括れるほど私は強い人間ではない。
119番はさすがに気が引けたので #7119に相談の電話をかけた。
状況を説明すると 救急病院の電話番号を教えてくれた。
そちらに電話すると 専門医はいないが緊急の対応は可能だと言う。
タクシーを呼んで あるいは救急車で行くべきか 朝まで我慢させるべきか
人生の大きな決断を迫られる思いだった。
結局 寝てないで座ってれば少しは楽だと分かり
専門医もいる、扁桃腺を切った病院に 朝一でかかることにした。
(決めたのは「ま」さん本人なので 私の大いなる悩みとその決断は何の役にも立たなかった)
水曜日の朝
一緒に家を出て 私は仕事に 「ま」さんは病院に向かった。
途中まで同じ車両に揺られ 乗換駅で「ま」さんを見送った。
仕事をしながら 私は正直 上の空だった。
悪い想像が暴走し
昼過ぎに 『筋肉痛だって~~』 とメールが届いた頃には
脳内は未亡人になっていた。
いっぱい検査して レントゲンもCTも確認して 何の異常もなかったらしい。
よかったよかった。めでたしめでたし。
夜、処方された湿布を貼り換えながら 大ごとにならなかったことに感謝した。