私は とてもリアルな夢を見た。
「ま」さんの実家で 「ま」さんの親戚と知り合いを集めてにぎやかに
私と「ま」さんの結婚お披露目パーティをしているのだが
何故かそこに 誰も私に紹介しようとしない、25歳くらいだけど
とっても地味で影の薄い女の子がいる。
始めは気付いてもいなかったのだが その女の子は「ま」さんにべったりで
あぐらをかいてる「ま」さんの膝の上に あごをのっけて嬉しそうにしている。
気にしないようにしても やはり目に付く。
そして、汗だくで ほとんど見ず知らずの人たちの中で孤軍奮闘し
慣れない笑顔を振りまき へたくそな会話を駆使して パーティーを仕切っている私を
二人はニヤニヤしながら 遠くから眺めているのだ。
温厚な私も だんだん 腹が立ってきた。
で、
『その娘は あなたのなんなのっ!!?』と もしかしたら開けないほうがいいかもしれない箱を開けてしまうのである。
その場にいた全員が凍りつき
叫んでしまったことで自分の中で怒りがさらに噴き上がる感覚を久々に味わう。
「ま」さんと女の子は 顔を見合わせ 不敵にもなんらかのアイコンタクトを交わし
天下泰平な笑顔を浮かべ 声をそろえて『アイジン』と抜かしやがった。
私の憤怒は天高く炎となって燃え上がり
怒髪天を衝くといった勢いで 「ま」さんにどす黒い死霊のはらわたのようなものをぶちまけた。
つまり、通常ではとても口に出来ないような言葉を浴びせかけたのである。
あまりに汚い言葉の連発と 常識外れに人目をはばからぬ態度に
周囲は私をキワモノ扱いし 危険物質を遠ざけるように 1歩・2歩・3歩と目に見えて後退して行くのであった。
私の勢いと後退する周囲の様子にあわてた「ま」さんはその場の収拾に努め始めた。
『みんなで仲良くやってこうよ』という不用意な発言をし
私の怒りは頂点を10個くらい極めたその先に達した。
どうも 「ま」さんは 私たち夫婦+アイジンをセットにして そのパーティでお披露目をしようと画策していたらしい。
ふざけた話である。
「ま」さんの実家なのに
『出て行きなさいっ!!!』と私は 二人に宣告し
心の中では すでに 離婚を決意しているのである。
そして頭の中では 冷徹にも 素早く慰謝料の計算をし
残された料理の始末については 親戚のおば様たちに持って帰ってもらおう、とか
いただいたご祝儀はお持ち帰り願わなくては・・・とか
帰りの新幹線では 一人でクロスワードパズルをしようかな、とか
どうでもいいことを考えているのである。
しらけたムードの中、私は冷静さを取り戻し、
問題の二人を屋外へ追い出し
食器棚の奥からラップやタッパーを引っ張り出し
料理を小分けにし その場にいた人たちに分配するのである。
みんなが帰った後 一人「ま」さんの実家で それでも残った料理を食べていると
「ま」さんが玄関の外で しょんぼり 『ごめんね』と言っているのが聞こえるのだが
私は ナニがナンでも 金輪際 許そうとしないのである。
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朝、起きて 見た夢を報告すると
「ま」さんは とても 悲しそうな顔をした。
夢は私の脳みそが生み出したものである。
もし 私の頭の中に<疑いの気持ち>が カケラも存在しないならば
そんな夢は 見ないはず、だそうである。