「ま」さんにとって どれほどそのパンツが素晴らしかったのかを
数日のうちに私は知った。
その日、仕事から帰った「ま」さんの手にはGAPの紙袋が…
外回りの途中で立ち寄ったらしい。
誇らしげにネイビーカラーの紙袋を振って見せる。
『買っちゃったよ~』
満面の笑みである。
グリーンやブルーのパンツを袋から出しながら
『あのカクレクマノミの柄は売り切れてたよぉ~』と
残念そうに奥歯をかみしめていた。
・・・・あの柄をそんなに気に入っていたのか
そして
その翌々日くらいに
「ま」さんはまたまたGAPの紙袋を下げて帰宅した。
もう、引き出しの中のパンツを すべて入れ替えんとする勢いである。
『やっぱり、あのカクレクマノミ柄は一番人気だよ!!』
『他のは山のように残っていたけど あれはどこにもない!!!』
大した惚れ込み加減である。
カクレクマノミ柄のパンツをさがして 別の支店をはしごしたようである。
で、
以降
毎日のように「ま」さんは<垂れてて目立つ>そのパンツを穿いている。
Tシャツの裾から グリーンやブルーやボーダーに包まれたぷらぷらをのぞかせて
家の中をうろうろしている。
目のやり場に困る。