「ち」の母は
『毎日料理を続けていれば もっと上手になるわよ』と言い、
父の手をひっぱるようにして帰っていった。
二人が去った後に
私は母のセリフについて考えた。
私の料理は<もっと>上手になる余地がある。
言い換えれば そうたいして美味いものでもない、ということだ。
これは認める。
間違いない。
そして
毎日のように料理をしていた母だが、
決して 『ものすごくおいしい料理を作る』というわけではない。
実は料理に関するある資格を取得している母だが、
勉強したからといって 毎回おいしい料理が作れるというものでもないようだ。
努力はそれなりの成果を生むが
達人の域に達する人はごくわずかだ。
私は母の娘である。
「ま」さんのお母さんのようにはなれないかもしれない。(きっと無理だ)
ある程度は あきらめてもらうほか無い。
つか、もはや既にあきらめていて
許せる範囲を『おいしい』と言ってくれてるのかもしれない。(その可能性はかなり高い)
とにかく、私はシアワセ者だ。
娘がシアワセに暮らしているので 父も母も安心だ。
めでたしめでたし。