ガタゴトぷすぷす~外道教育学研究日誌

川口幸宏の鶴猫荘日記第2版改題

翻案 パリ・コミューンと少年(17)激動のパリ 続

2018年09月30日 | 研究余話
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 ぼくたちのバリケードの後ろで守られながら、ぼくたちはヴェルサイユが不意に打って出てくるかどうか尋ねあう。:彼らはとにかく北からも南からも来るかもしれない。でも西から彼らは来るだろう。アレシア通りを通って。彼らはぼくたちのバリケードを背面から攻撃する。
 戦闘はおそろしい。ヴェルサイユは営舎を作らない。彼らは教会に入るために発砲する。銃の音を聞いて、ぼくは褐色の法衣をまとったサン・ピエールとかいう名前の人のことを思い描く。その手に鍵を持っている。:ブルーの法衣と白いヴェールを身にまとったヴェイエルジュ・メールとかいう人は片腕にピンク色した子どもを抱いている。石膏でできた鍵、子どもが凶悪な突風を受けて炸裂する。:国民兵がひとかたまり倒れる。10人の国民兵だ。パパ、どこにいるの?ヴェルサイユが鐘楼に登り、留まり撃ちつづける。教会のポーチの隅に隠れ、ぼくはすべてを見る。:血が回廊から地面にまで流れる。近くの石切場から切り出された白い石の上の赤い血。ヴェルサイユが国民兵を捕らえた。彼らは国民兵たちを教会のポーチに並べる。絶え間のない一斉射撃のような気がした。