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あなたの存在に対する形容詞 ミルチャ・カントル展

2018年06月08日 | アート

映画の後に、銀座のメゾンエルメス フォーラムで開催中の「あなたの存在に対する形容詞 ミルチャ・カントル展」(Adjective to your resence by Mircea Cantor) を見に行きました。

ミルチャ・カントルは1977年ルーマニアに生まれ、現在はパリを拠点に活動している現代美術のアーティストです。私は以前、現代アートの祭典「ヨコハマトリエンナーレ2011」で氏の作品を鑑賞する機会があり、2つの会場で見たどちらの作品も強く印象に残っていました。(リンク先から当時の記事に飛びます)

Tracking Happiness (幸せを追い求めて) @横浜美術館
白装束の女性たちが白い空間をひたすら掃き清めるスピリチュアルな映像作品

Holy Flowers (聖なる花) @日本郵船海岸通倉庫
無骨な釘やビスを、鏡を用いて万華鏡風に表現した写真作品

***

今回はカントル氏の日本における初個展。氏の作品がもつ透明感のある無機質的な世界は、レンゾ・ピアノ設計のガラスブロックの空間にぴたりとマッチしていると思いました。作品は全部で3点ありました。

上からぶら下がっているのは「風はあなた?」という作品です。この展示室には、左奥に見えている身長より低い小さな引き戸から入りますが、中に入るとカランコロンと金属が織りなす涼やかな音色に迎えられます。上から下がっている何十もの風鈴と、小さな引き戸がワイヤーでつながっていて、引き戸が開くたびに音がなる仕組みとなっていました。

下から見上げたところです。金属管でできたシンプルなウィンドベルですが、整然と並びなかなかの迫力でした。そういえば昔の個人商店には、お客さんが引き戸を開けて入るとチャリンと鳴って奥に知らせるベルがあったっけ...と思い出し、このアナログな仕掛けがなんとも懐かしく感じられました。

手前にあるのは「呼吸を分かつもの」という作品です。アクリルグラスでできた屏風に、何本もの白い直線が交わっています。最初は蟻の行列?と思いましたが、よく見ると有刺鉄線を表しているようです。

近づくと、線は指紋で描かれていました。指紋の連なりが、こんなクールなアートになるなんて!と新鮮でした。これならインテリアやクラフトなど、身近なところに取り入れられそう...なんて言ったら失礼ですが、思いがけない発想に驚きました。

この他、もう一点「あなたの存在に対する形容詞」という映像作品がありました。透明なプラカードを持つ人たちが、桜咲く東京の町を練り歩いているところを延々撮影した40分の作品です。一見カルトな感じで不気味でしたが、無言のまま、何も書かれていないプラカードを持つ人々は何を表しているのでしょうか...。

日本では主張する、デモに参加するというのは少し勇気がいりますが、海外では市民の権利として認知され、わりとよく見る光景です。まずはアクションを起こしてみたら?というカントル氏からのメッセージのようにも受け取れました。


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2 コメント

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セレン好み (ノルウェーまだ~む)
2018-06-10 19:03:49
セレンさん☆
窓のかっちりした格子と、インスタレーションのウィンドベルが幾何学的で、セレンさんのお好みのような気がしますがいかがでしたか?
カチッとしているのに涼やかな音がしてくるのも、何だかとっても癒されそうでいいですね!
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☆ ノルウェーまだ~むさま ☆ (セレンディピティ)
2018-06-11 00:06:53
まだ~むさん、こんばんは。
たしかに幾何学的ですね!
スタイリッシュでクールで...すてきなアートでした。
風鈴は、最初はどういう仕組みで鳴るのかと思ってましたが
他の人が入ってきた時に、なるほど!とわかりました。
涼やかな音の重なりがとてもきれいでした。
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