ティモシー・シャラメ&アーミー・ハマー主演、1980年代の北イタリアを舞台にひと夏の恋を描いた青春ラブストーリーです。アンドレ・アシマンの同名小説を、イタリアのルカ・グァダニーノ監督が映画化。ジェームズ・アイヴォリーが脚本を手掛けています。
君の名前で僕を呼んで (Call Me By Your Name)
1983年夏、17歳のエリオ(ティモシー・シャラメ)は、今年も家族と北イタリアの別荘で避暑をすごしていました。アメリカの大学で考古学を教える父は、毎夏教え子をひとり別荘にアシスタントとして招待するのが習わしで、今年は24歳の大学院生オリヴァー(アーミー・ハマー)がやってきました。
非の打ちどころなく自信にあふれたオリヴァーを最初のうちは敬遠しつつも、気になってしかたがないエリオ。一方、そんなエリオの気持ちを知ってか知らずか、オリヴァーも彼を何かと気に掛けるようになります。毎日をいっしょにすごしていく中で、2人は少しずつ互いの距離を縮めていきますが...。
スチールやトレイラーを何度も見て楽しみにしていた作品です。美しい風景、美しい人々、美しい音楽。夏の北イタリアは楽園のようで、本を読み、音楽を奏で、水を浴び、戯れる人々、知的な会話や木陰のブランチ、それらすべてがまぶしく感じられました。一方、きらめく夏の光の陰で、それらは時に残酷に心にひりひりとした痛みを感じさせました。
ふと気がついたのですが、エリオくんは私とちょうど同世代なのですよね。野外パーティで流れる80年代の懐かしい音楽を聴きながら、私が窮屈な日本でくすぶっていた頃、彼らはこんな風に青春を謳歌していたんだなーと、憧れと嫉妬がない交ぜになったような気持ちを味わいました。
同じ気持ちを以前どこかで味わったことがある...と思い出したのが、サガンの「悲しみよこんにちは」。あの洗練された早熟な才能に当時の私は衝撃を受けたのでした。日本だと昔読んだ倉橋由美子さんの小説に、こういう世界が描かれていた記憶があります。
男性同士の初恋を描いた青春映画としては、先日見たブラジル映画の「彼の見つめる先に」(The Way He Looks)が記憶に新しい。あの作品では、彼らのときめきと戸惑いがとても自然に受け止められましたが、本作ではなぜか私の中にひっかかるものを感じました。
それはこのアートのような美しい恋愛に対して、作為的なものを感じてしまったかもしれません。思えばオリヴァーは最初からエリオにボディタッチしていたし、両親はすべてを知った上で2人を旅行に行かせたのでした。
そして終盤、父親のエリオへの告白を聞いた時に、なるほどと腑に落ちるものがありました。ひょっとして、だから父はアシスタントにオリヴァーを選んだのでは?とちょっと勘繰ってしまいました。
とちょっと厳しめに書いていますが、全体的にはとても好きな作品です。何より、知的で繊細なティモシー・シャラメくんが魅力的でした。いつもはエンドロールをくまなくチェックするのですが、今回ばかりはエリオくんから目が離せなかった...。きゅ~っと胸が締め付けられました。
音楽もとっても好み。ラヴェルやサティのピアノ曲と、坂本龍一さんの(BTTB風の)ピアノ曲がよく調和していますが、80年代のナンバーとスフィアン・スティーヴンスのセンチメンタルなメロディも不思議とマッチしています。今一番お気に入りのBGMです。
そうなんです!!
美しい景色、美しい人々、美しい音楽とパーフェクトなのにどこか引っかかってしまうのは、セレンさんの仰る通り憧れと同時にどこか嫉妬を感じてしまうからなのかもしれません。
恵まれた容姿で恵まれた才能と環境という、手の届かないような物語が、共感を拒む絵空事に思えてしまうのは、ひとえにこの「嫉妬」の気持ちが大きく作用していたのかもしれません。何とも歯がゆく言い難かった事ですが…
あれこれ書きましたが、ビジュアルや音楽がすばらしくて
うっとりしたり、ひりひりしたり、大いに堪能しました。^^
ただ、なんとなく大人たちによって
仕組まれたようにも感じてしまって...
そこがちょっと気になりました。
本当に、素敵な北イタリアの風景、うっとりするようなシチュエーション、素晴らしく美しいイケメンカップル、と、眼福要素満載なのですが、やはりお伽話の域は出ませんよね~。
ひとつには、別れに憎悪が描かれていないことだ、と私は感じてしまいました。ま、美しいままに終わる方がいいに決まっているのですが。
美しい風景に美しい人々、洗練された雰囲気にうっとりする作品でした。
こういう世界にはどろどろした恋愛は似合いませんね。
エリオにとってはほんとうの意味での初恋だったので
私も甘美な思い出のままに終わるのがいいのかな~と思いました。
この映画の最大の見どころは、やっぱりあの夏のイタリアの避暑地の風景にあった気がしますね。
映画を見て時間がたってみると、思い出されるのはあの風景と2人の姿だけになりました。
(あと、アミハマの垢抜けないダンス。笑)
ひと時のアバンチュールの物語なんだけど、現代ならではのテーマが盛り込まれていて(父親の告白とか)時代は移り変わったんだな~・・っていう感慨も感じたりしました。
次の半熟卵の記事、ステキです!「オリエント急行」のポアロの卵へのこだわりを思い出したりしました~。
http://22596950.at.webry.info/201805/article_6.html
北イタリアというロケーション
そしてティモシー・シャラメ&アーミー・ハマーあっての作品でしたね。
今の時代に公開されたということで、見る側にも受け入れやすかった
のではないのかな~?とも思います。
卵料理って単純だけど奥が深い。
だから映画でのキャラクター描写や心理描写によく使われるのかもしれませんね。
登場人物に生活の臭いがしなくて、まるでファンタジーの世界にいるような気がしました。
二人の男子もそうですが、全体的にとても美しい映画でしたね。
美しいひと夏の恋物語でしたね~☆
映画ならではの世界を堪能しました。
ティモシー・シャラメ&アーミー・ハマーの
汗のにおいを感じないようなさわやかな関係が印象的でした。
セレンさんの感想を読んでいて
そういえば私もエリオ君と同世代だと気づきました。
われわれが思春期だったころに彼もオリヴァーと出会ったのですね。
…ところ変わればこんなに違うのね~としばし呆然。
それはさておき。腐女子の素質もある私としては
とても楽しみにしていた作品でした。
ストーリーや役者の演技や音楽、すべてが
繊細で美しくて大満足でした。
ななさんも同世代でしたか。
映画で80年代の音楽を聴いて、一気に当時の自分に引き戻されました。^^
私もこういうアートのような美しい作品、好きなので
とても楽しみにしていました。
そして期待通りにすてきな作品でしたね。
しばし夢の世界にひたることができました。