東京都庭園美術館で開催されている「キューガーデン 英国王室が愛した花々 シャーロット王妃とボタニカルアート」を見に行きました。
英国王立植物園「キューガーデン」に所蔵されている18~19世紀のボタニカルアート約100点のほか、キューガーデンの発展に尽くした、シャーロット王妃が愛したウェッジウッドの陶磁器が展示されています。
会場は白金にある東京都庭園美術館です。旧朝香宮邸として知られるアールデコ様式のこの美術館は、建物自体が貴重な美術品であり、本展を開催するのにふさわしい場所でした。どの作品も、まるでお部屋にもともとあった装飾品のようにマッチしていました。
トマス・ハーヴェイ夫人 ローザ・ケンティフォリア(キャベツローズ)とローザ・ガリカ(フレンチローズ)の栽培品種(バラ科) 1800年
私は昔からボタニカルアートが好きで、家にも2点飾っています。どちらも買った時の状況をよく覚えている思い出深いものですが、どちらかというとモダンアートの好きな私がどうしてボタニカルアートに惹かれるのか、自分でも不思議に思っていました。
フランツ・アンドレアス・バウアー ゴクラクチョウカ(ストレリチア・レギネ)(ゴクラクチョウカ科) 1818年
それで今回、ボタニカルアートは植物を科学的視点から描いたものであり、科学の発展と深くかかわってきたと知り、納得しました。ボタニカルアートの中にあるサイエンスの部分に、私は心惹かれるのだと思います。
ヨーロッパの植物園は、医療を目的とした薬草園からはじまったもので、ボタニカルアートは、植物の特徴を正確に記録することで、薬学や植物学の研究を支えてきました。
フランツ・アンドレアス・バウアー ゴクラクチョウカ(ストレリチア・レギネ)(ゴクラクチョウカ科) 1818年
また植物学や水彩画を学ぶことは、18世紀のイギリスの女性の教養のひとつと考えられていて、その中から優れた女性画家たちが生まれた、という事実も興味深かったです。本展では、こうした女性画家たちの作品も数多く紹介されていました。
ドローイング・ルーム(ここだけ撮影可)
18世紀のイギリスの邸宅にあったドローイングルームは、その家を取り仕切る女性の趣味で室内装飾が施され、女性たちの社交の場となっていたそうです。また、女性たちの教養のひとつであったボタニカルアートを制作する場としても使われたそうです。
シデナム・ティースト・エドワーズ チョウマメ(マメ科) 1813年
もうひとつ興味深かった話は、現在はカメラで花を撮影して正確に記録を残すことができそうですが、なぜボタニカルアートが今も必要とされているのか、ということです。
シデナム・ティースト・エドワーズ ボタンの栽培品種(ボタン科) 1809年
ボタニカルアートは、花と茎、茎と葉の大きさのバランスなどが正確に描かれていますが、カメラのようにすべてをそのまま写し取っているのではなく、薬学や植物学に必要な部分を細かく描き、必要ではない部分を省く、というように
専門的な知識によって取捨選択して描いているのだそうです。カメラで花の写真を撮ると、余計なものがすべて写り込んでしまい、自分の目で見た時と印象が違うと感じることが、これまでにもよくあったので、私はこのことに深く納得しました。
ウェッジウッド 蓋付き深皿(クイーンズウェア) 1765-70年
18世紀の産業革命の時代にキューガーデンの発展に力を尽くし、芸術と科学の世界に貢献したシャーロット王妃。彼女が愛したウェッジウッドの陶器も、ボタニカルアートと同じく、アートとサイエンスが結びついた傑作といえるかもしれません。
ルドゥーテ、すてきですよね。
実は私が持っているうちの1点もルドゥーテなんです。(複製だと思いますが)
昔イギリスの田舎町のアンティーク屋さんで一目惚れして
ルドゥーテと知らずに買ったんですよ。
薔薇ではなく、赤い実に蝶をあしらったものです。
若冲の動植綵絵も、息を呑むほどすばらしいですね。
庭園美術館は建物も素敵で美術館ですね。
魅力的な企画展があったらまた足を運びたいです。
ボタニカルアートは人気ありますよね。
ルドゥーテの画集が一番人気で、本もたくさん出ています。
江戸時代の植物画集とかもすごく素敵ですよ。眺めてるだけで楽しいです。
記事で書かれていた、写真ではなく絵の方が必要な情報を得られやすいというお話は目からうろこでした。
庭園美術館はながらく行ってないから、また足を運びたいな~。素敵な美術館ですよね。
わ~、瞳さんもキュー王立植物園のコレクションを見に行かれたのですね。
ウエッジウッドの、装飾のある器もすばらしいですね。
共感していただけてうれしいです!
花でも風景でも、目で見た時はすばらしいのに、写真に撮るとなんだか平坦に感じてしまうことがあって... 情報はなんでも詰め込めばいい、というものではないのですね。
ポターの描く精密な植物や野菜なども、イギリス伝統のボタニカルアートの流れを汲むものなのでしょうね。
ボタニカルアート、すてきですね。
なるほどデザイン性が優れているので、シンプルな空間にも、アンティークな空間にも、マッチするのかもしれません。
命ある植物だからか、ほっとする心地よさも感じます。
花柄の壁紙、憧れます~! 我が家は長らくローラアシュレイの花柄のカーテンだったのですが、男性陣にはちょっとラブリーすぎるかしら?と反省し、今はシンプルなものにしています。^^
ボタニカルアート!私も大好きです。
いいな、いいな~。
2015年だったかな?わが県にも一度キュー王立博物園のコレクション展が開催された時に、
ウエッジウッド社の「陶器皿 スイレン」をみてうっとりしました(*^-^*)
>薬学や植物学に必要な部分を細かく描き、必要ではない部分を省く、
なるほどです~!!
写真だったら全部同じように写ってしまいますよね。
ビアトリクス・ポターもキノコとかのボタニカルアート素晴らしいものがありましたよね。
ドローイングルームも素敵だなぁ。
私もボタニカルアート大好きです!家に1点飾っていました。
写実的なのにアートとしてもデザイン性に優れているし、油絵や水彩とも違った味わいがありますよね。
こういったデザインがお部屋でも使われているような美しい壁紙となって、常にお部屋を彩っているのって本当に素敵♬
イギリスでは日本には売っていないような様々な柄の壁紙が売られていて、よっぽど買って帰ろうかと思いましたが、家具もそろえないとアンバランスなので断念したのが思い出されました。