特上カルビの記のみ気のまま

韓国語教育を韓国の大学院で専攻した30代日本人男性が、韓国ソウルでの試行錯誤の日々を綴りました.

韓国で『いま、会いにゆきます』を読む

2005-02-24 20:18:55 | 韓国留学記
 晴れ。最低気温-6度。最高気温3度。

 外国小説を読むのが苦手だ。

 日本語に翻訳された文章が、なんとなくぎこちなくて、話しの内容がストレートに頭に入らない。それに登場人物の名前がなかなか覚えられないのだ。カバーや最初のほうに書いてある“主な登場人物”のページを何度も何度も見返しているうちに、読む気がだんだん萎えてくる。その点、日本の小説は楽で良い。

 映画『いま、会いにゆきます』が三月二十五日に韓国でも公開されるそうだ。
 映画は既に昨年末日本で観たのだが、原作を読んでいなかった。一度読みたいと思っていたら、大型書店「教保文庫(キョボムンゴ)」の日本語書籍売り場に並んでいたので、ちょっと高かったが早速買って読んでみることにした。

 映画を観ているので、主人公の秋穂巧(あいおたくみ)は中村獅童(なかむらしどう)、その息子である秋穂佑司(あいおゆうじ)は武井証(たけいあかし)、そして巧の妻である澪(みお)は竹内結子(たけうちゆうこ)をそれぞれイメージして一気に読み進んだ。

 土井裕泰監督がキャスティングをしたのだろうが、原作を読んでみて、改めてキャスティングの妙に唸った。特に秋穂巧と秋穂佑司役はそれぞれ、中村獅童と武井証の二人以外にはどうしても考えられないのだ。原作の“味”を損なうことなく、うまく“味付け”をしたなとつくづく思った。

 この本は登場人物も、場所も非常に限られた中で話しが進行して行く。そういった面ではとても読みやすい。“主な登場人物”のページを何度も見返す必要は無いし、だいたいそんなページ自体存在しない。ストーリーも極めて解かりやすい。

 日常の“コトバ”を羅列し、決して難しい言葉や表現を使っていない。だからこそ日本で多くの読者の支持を得られたのだと思う。ストーリーはあらかた解かっているにもかかわらず、不思議なことに「早く先が読みたい!」と思わせる一冊だった。本の“帯”に書いてある「きっと大切な人に会いにゆきたくなります」というコピーにも納得。

 『世界の中心で愛をさけぶ』の原作も読んだが、個人的にはお金を払って買う本ではないと思った。映画のほうが原作よりもよほど面白かった。

 果たして韓国内ではどのように受入れられるであろうか?『セカチュー』に続いて『イマアイ』ブームが巻き起こるかどうか。今から楽しみである。