特上カルビの記のみ気のまま

韓国語教育を韓国の大学院で専攻した30代日本人男性が、韓国ソウルでの試行錯誤の日々を綴りました.

泣き出しそうな雲

2005-02-15 23:54:05 | 韓国留学記
 曇りのち雨、一時あられ。最低気温1度。最高気温10度。日中は春を思わせるような暖かさ。夜は一転して台風のような強風が吹き荒れた。

 予想以上の値上がりだった。

 今学期の授業料納付と受講申請が昨日から始まった。授業料の納付書は学生本人が大学のホームページからダウンロードして、印刷することになっている。学校側によると、納付書の発送事務手続きの廃止による経費削減と、納付書の誤配や紛失を防止するのが目的らしい。

 今学期の授業料は3,627,000ウォン(362,700円)だ。3,405,000ウォン(340,500円)だった先学期より222,000ウォン(22,200円)も高くなっている。入学当初の2,946,000ウォン(294,600円)から比べると実に681,000ウォン(68,100円)もの値上がりである。

 今学期は最後の学期なので講義を履修する必要は無い。修士論文を書き上げ、論文審査に合格さえすれば良いので極端な話し、毎週学校に足を運ぶ必要は無いのだ。それなのに3,627,000ウォンも授業料を払わねばならないというのは、素直に納得し難い。

 と、文句を言ったところで仕方がない。払わなければならないものを払わなければ、修了はおろか、学位も貰えないのだ。

 しかし現実は甘くない。今の蓄えでは今学期の授業料を払ってしまうと、明日からの生活に支障を来たすのは目に見えている。

 今学期は休学してアルバイトで学費を稼ぎ、来学期(9月)に復学したい旨メールを書いて、昨日C教授宛てにメールを送った。すぐに返事が来て、今日の午後学校で教授と会うことになった。

 約一ヶ月ぶりに自分の大学の門をくぐった。

 今日は同じ敷地内にある附属高校の卒業式らしく、花束を持った制服姿の学生とその家族たちを数多く見かけた。卒業式を無事に終えた高校生たちの明るい笑顔とは対照的に、私の心の中はちょっぴり重苦しかった。でも表情だけは明るく保とうと意識しながら、教授の待つ研究室へと向かった。

 三十分ほど教授と二人で話しをし、最終的に今学期は休学し、来学期に復学することで許可を頂いた。研究室を辞して、その足で教務課に行き、休学届けを提出した。

 これから先のことを考えると、正直言って“不安”に押し潰されそうになる。この半年間で充分な蓄えが出来るのか?、修士論文は?、健康は? 心の中にある“不安”を数え始めたら、指が何本あっても足りなさそうだ。

 大学を後にして、近くの駅に向かう道すがら、“コリントの信徒への手紙一”十章十三節の有名な聖句を何度も何度も繰り返していた。
 「あなたがたを襲った試練で、人間として耐えられないようなものはなかったはずです。神は真実な方です。あなたがたを耐えられないような試練に遭わせることはなさらず、試練と共に、それに耐えられるよう、逃れる道をも備えていてくださいます」

 空を見上げると、今にも泣き出しそうな雲が、一面に垂れこめていた。

 写真は私の大学の中央図書館。映画『クラッシック(邦題:ラブストーリー)』の撮影にも使われた。