嵐山石造物調査会

嵐山町と近隣地域の石造物・道・文化財

嵐山町の石仏14 石造物の分類とその概要12 七福神

2009年03月14日 | 大蔵

・七福神(しちふくじん)
 弁財天・大黒天・毘沙門天・寿老人・福禄寿・布袋・恵比寿をまとめて「七福神」という。仏教の神や神道の神などが混在する、いわゆる神仏混成で日本独自の民間信仰である。嵐山町には石造物としてまとまった七福神は見当たらず、近世に造立されたものは仏教に由来する大黒天・弁財天・毘沙門天だけであったと考えられる。三天とも豊かな収穫と平和を維持するという観点から重要視されたものであろう。なお、これら三天についてはそれぞれ天部の部分でくわしく解説した。
 残る七福神のうち寿老人・福禄寿・布袋の三つは中国から移入したものである。福禄寿と寿老人はもともと中国の道教で信仰されていた仙人であり、布袋は運命と天候を予知する神で、もとは中国に実在した僧侶であるといわれている。大きな腹を突き出し、袋に寄りかかり笑う像容で、これは寛容な心を表わしている。嵐山町には菅谷の東昌寺に一基、比較的最近の造立と思われる年代不詳の布袋像があり、寿老人・福禄寿の石造物については確認されていない。
 七福神の中で、恵比寿だけは日本神話の神であり、正月や春と秋の「えびす講」で祀られている。福利を招き、商売繁盛の神として商人や漁民に信仰されてきた。その像容は釣り竿と鯛を手にしたものである。また恵比寿と大黒は七福神の中心的な存在で、常に筆頭に位置している。二神は一対となって信仰される場合が多く、かつては食の神として、小さな木像が台所の棚などに祀られていた。嵐山町には恵比寿の石造物は最近造立されたもので、大蔵の大行院に像塔が1基ある。

※嵐山町博物誌調査報告第8集『嵐山町の石造物1』(嵐山町教育委員会発行、2003年3月)掲載の島﨑守男「嵐山町の石仏造立の背景」20頁


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