論壇 道路行政を確立せよ
吾々が見知らぬ町や村を訪れた時そこに坦々と開けた新道を見ると、その町や村がいかにも建設の息吹きに燃えているような感じを受ける。道路は今日ただ単に交通のためのみならず、経済の発展や文化の発達、産業の伸展等に欠かすことのできない要素となってきている。市街地の形成にしても、まづ道路の整備が先決である。こうみてくると道路は極めて重要な政治的意義を持っていることになる。従って村としてもこの道路に対する基本的な考え方を明かにしておく必要がある。
道路には国道、県道、村道、それに建設省の道路として村が維持管理している所謂(いわゆる)馬入(うまいれ)がある。このうち特に関係があるのは村道と馬入である。現在村道には殆ど村の境界杭が入っていない。馬入については尚更である。従って道幅が何メートルあるのか少しもはっきりしていない。それのみならず、道路になってをりながら登記してない所さへある。道路行政が如何にルーズで投げやりであるか、これだけでもわかる。
まづ未登記の道路を速やかに登記すべきである。次に境界杭をはっきりと打ち込むべきである。その際、道幅を確定することが必要であるが、これには曲を直し道路が交差する地点を見通しのきくようにラッパ型にすることである。
第三に道路の階級を設けて村内各に通ずる主要道路を一級道路とし、これはすべて幅員六メートルとする。これに要する費用は全額村負担とする。その他の道路は二級村道として四メートル道路とする。この費用は地元に若干の負担をしてもらう。この一級、二級村道の新設、拡張は地元の協力がなければできないが協力態勢の整った地区から予算を投入して実施してゆくようにすべきである。
第四は馬入であるが、これはその名の通り昔馬で仕事をした時代そのままの道であり、耕うん機や軽四輪の発達した今日ではかなり狭い道となってしまった。まして市街地形成地区に於ては住宅が次々に建築されている現況であり、消防自動車は入ることができないし下排水も思うに任せない。然もこの馬入たるや六尺の道か九尺の道か少しもはっきりしていない。道路行政を確立する上において先づ基本的なことは道路計画を確立することである。未だに道路の予定線が明確に示されていないことは徒(いたず)らに混乱を来たすだけであり、然も時日が経過すれば困難な事態が惹起されることは明かである。ブロックの塀ができたり、石垣が築かれたりしている現状ではなかなかこれを取り除かせることは難しくなるばかりである。曲がり角や将来道を伸ばしたいと思う処に家が出来れば立退きも容易ではないし、道路も拡張できなくなる。
従って道路問題についてはこれを総合的に検討する道路委員会なり道路行政審議会なりを特別に設ける必要がある。この委員会は村長の諮問機関とし、役職にとらわれない人選がなさるべきである。
関根村政発足以来すでに一年となる。理想の田園都市を建設せんとする意欲に対して村長は大いなる期待と希望を寄せている。田園都市構想は先づ道路行政の確立が急務であり、道路に対する基本的考え方を明確に示すことを強く希望して止まない。(関根昭二)
『菅谷村報道』163号 1965年(昭和40)9月30日 論壇
村道境界の維持について
皆様はすでにご承知のことと思いますが、本村内の道路のほとんどが建設省の所有であり、村長の管轄下にあります。道路は公共のものでありますので、関係者は次の事項をよく守りましょう。
◎無断で道路以外に使用しないこと
あまり使用しない道路であるからといって、勝手に畑や宅地等に使用したり、又商品等道路に並べたりして他人に迷惑をかけぬようかならず占用許可を受けて下さい。
◎道路に接した土地の境界は勝手に一人ぎめしないこと
農地や山林などを分割して第三者に売渡す場合、村の立合なくして分割した場合道路境界を村において調査した結果、その境界が道路敷に入りこんでいるときは直ちに境界の変更を地主立合の上することになります。そのために第三者に迷惑をかけぬよう、又ブロック塀並びに他の工作物等を境界に設置する場合も、立合人なくして設置した工作物が道路敷にありますと撤去していただくことになり、設置した者は大きな損害を被る結果になりますから、事前に公共用地境界査定願を提出して村の許可を受けてから実施して下さい。
なおこのことについて不明な点がありましたら、遠慮なく役場にお問合せ下さい。(産業建設課)
『菅谷村報道』163号 1965年(昭和40)9月30日